コロナ禍で内装をチェンジ

地元というわけではないが、土地勘のある大森にお店をオープンしたわけだが、オープン当初はどうだったか。
田渕シェフ:20年間ほど飲食業界にいたこともあり、他の店舗時代の常連が食べに来てくれたりして、順調な滑り出しだった。大森周辺だけではなく、港区や千代田区、横浜からも足を運んでくれた。
それは良かった。しかし翌年の20年初頭からコロナ禍になり、4月には緊急事態宣言が発出された。かなり厳しかったのでは。
田渕シェフ:常連客が多いせいか、心配をして店に顔を出してくれた。また、ベッドタウンでもある大森エリアのおおらかな土地柄のせいか、意外と予約なしのフリー客の来店もあったため、20年3~4月の売り上げは決して悪くなかった。しかし、5月に入るとフリー客はほとんどなくなり、売り上げが急降下した。そこで、コロナ禍で時間が余っていたこともあり、自分たちの手作業で内装を変えることにした。
いちばん大きく変えたのはどこか。
田渕シェフ:今はテーブル席になっている場所は小上がりだったが、店舗面積が広くないので余計に狭く感じていた。これを取っ払って、現在のレイアウトに落ち着いた。
肉和食と銘打っているだけあって、どの肉料理も手が込んでいてうまい。しかしあえて焼き鳥をピックアップして「箸を使って食べる焼き鳥」「日本酒とのペアリング」を打ち出したのはなぜか。
田渕シェフ:現在の悩みは、ビバレッジ(飲み物)の比率が極端に低いことだ。お酒を飲みに来たというよりも、食事をじっくり食べに来たお客さんが多い。料理を認められるのは大変光栄だが、日本酒などおいしいお酒も充実しているので、そちらも楽しんでほしいという思いから、このような打ち出し方をした。

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