新型コロナウイルスの感染爆発の波が日本にも再び押し寄せている。「まん延防止等重点措置」の適用を申請する自治体が相次ぎ、ようやく息を吹き返してきた外食産業に、冷や水を浴びせる事態になっている。

 ただ、コロナ禍という嵐だけでなく、もう一つの逆風が吹きつけた地域がある。東京・築地だ。コロナが押し寄せる1年半前の2018年10月、築地市場が東京・豊洲に移転したのだ。魚といえば築地。「日本の台所」の移転は、築地場外市場など観光客であふれかえってきた当地に大きなマイナスとなった。

 市場の移転とコロナ。未曽有のダブルパンチに見舞われた築地では、外食店はどのように立ち振る舞ったのか。数多くの寿司屋が点在する場外でも屋台スタイルでひときわ目を引く、「つきぢ神楽寿司 屋台店」をクローズアップする。

 魚市場の豊洲移転と同時期に、築地場外市場に新設された「築地にっぽん漁港市場」。その前にある波除通りを4ブロックほど奥に進むと、ほどよく年季の入った外観が味のある屋台にたどり着く。そこが「つきぢ神楽寿司 屋台店」だ。

 2003年、空前の寿司ブームが巻き起こる中、カウンターで5人しか入れない小さな立ち食いの屋台として開店した。その後、隣のコーヒーショップが立ち退いたため、現在のサイズに拡張。さらに数カ月後、裏にあった店舗が空き物件になったため、そちらを本店にして、こちらを「屋台店」としたそうだ。運営はつきぢ神楽寿司(東京・中央)。現在、本店と屋台店にくわえ、築地場外市場に新館、豊洲に豊洲市場店、豊洲場外店、豊洲魚河岸店の合計6店舗を運営する。

 つきぢ神楽寿司の原点でもある屋台店はビニールテントで覆われており、2人がけの寿司カウンターとテーブル席が2つのみ。席数はたった8席しかない。

2人がけの寿司カウンター。ケースには新鮮で本格的な寿司ネタが豊富にそろう
2人がけの寿司カウンター。ケースには新鮮で本格的な寿司ネタが豊富にそろう
ビニールテントで囲まれているが、暖房や足元近くにミニストーブが置かれ、寒さ対策も万全だ
ビニールテントで囲まれているが、暖房や足元近くにミニストーブが置かれ、寒さ対策も万全だ