人の営みの中で生まれる悩み。その悩みは、数千年前から哲学者たちも考えてきたことと同じ。毎回、現代人の悩みごと1テーマを2人の哲学者の視点で切り取ります。モヤッとしていた悩みの解決策は、哲学に答えがあるはずです。
この世の誰もが望むこと。それは幸福になることです。SFの世界では幸福になるための薬が一般的に出回っていて、皆手軽に幸福感を得ています。でも、現実の世の中にはそのような薬はありません。いや、あっても副作用が大きいため、結果的に不幸になってしまいます。
お酒もまた、幸福の前借りのようなこと。一時的な幸福感は得られても、二日酔いや体を壊す結果になるでしょう。幸福になるのもやはり簡単ではないのです。
古今東西の哲学者たちも、この「幸福」という難題をテーマにしてきました。西洋では古代ギリシャの時代から、東洋でも古代中国の思想家たちが幸福を論じていました。西洋の幸福論に共通するのは、自分で幸福を獲得するという姿勢です。これに対して、東洋の幸福論では、何もしないことによって幸福を得るという姿勢が共通しています。
つまり、西洋と東洋とでは180度異なる方法を提唱しているのです。おのおのの立場から代表的な哲学者を選び、対比してみたいと思います。西洋からは英国の哲学者バートランド・ラッセルを、東洋からは中国の思想家、老子に登場してもらい、対決いただきましょう。

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