人の営みの中で生まれた悩み。数千年にわたり、哲学者たちも同じことを悩んできました。毎回、現代人の悩みごとを2つの視点で切り取ります。モヤッとした悩みを解決したいとき、哲学に答えがあるかもしれません。今回のテーマは「友達」です。

友達100人はいないけれど…

 職場に友達はいるかと問われたら、私も自信がありません。こちらは友達だと思っていても、相手がどう思っているか分かりませんし、一緒に遊ぶわけではないので、友達と言えるのかどうか……。

 そもそも何をもって友達とし、何をもって友達でないとするのでしょうか?

 子供の頃はシンプルでした。特に小学校や中学校の時は、一緒に遊ぶ仲間が友達だったからです。その意味では、昼休みや放課後にみんなでドッジボールやサッカーをして遊んでいたので、クラスメートみんなが友達だったのかもしれません。

 では、大人はどうか? 大人にとっての友達は、しょっちゅう遊びに行くわけではないけれど、たまに飲みに行ったり、ゴルフをしたりという感じでしょうか。共通の趣味があれば、それを共に楽しむ仲間ということになるでしょう。

 問題はそうした友達の間柄になるのに、ハードルがあるということです。漫然と時間を過ごしているだけでは、友達にはなれないような気がします。そこが学校時代のクラスメートとの違いです。

 一体、なぜだめなのでしょうか?

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