人の営みの中で生まれた悩み。数千年前、哲学者たちも同じことを悩んできました。毎回、現代人の悩みごとを2人の哲学者の視点で切り取ります。モヤッとしていた悩みの解決策は、哲学に答えがあるはずです。今回のテーマは「5月病」です。

 5月病とはよくいったものです。4月に新年度が始まる日本社会では、学生も社会人も皆、5月に急に心身に不調をきたしてしまうのです。そもそも頑張り屋でまじめな日本人にとって、新しい環境は相当のストレスになるはずです。

 そしてがむしゃらに1カ月を過ごし、ゴールデンウイーク(GW)で急に弛緩(しかん)させられ、そのあたりから調子がおかしくなる。これは、誰しも一度は経験したことのある厄介な出来事なのではないでしょうか。

 さて、はたして5月病に効く哲学はあるのでしょうか? 今回もまた少し異なる二つの処方箋を提案したいと思います。まずは、身体を慣らすという方法です。新しい環境に合わせることが大事なので、身体を使ってやっていくという提案です。これはフランスの哲学者メルロ=ポンティの哲学を参考にしたものです。

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