意識より先に身体に慣れさせる

 メルロ=ポンティは、身体を本格的に哲学の主題とした人物として知られています。通常私たちは、なんでも頭で考えて行動していると思いがちです。ところが実際には、無意識にやっていることが多いと思います。実はそれは身体が先に行動しているということなのです。

 メルロ=ポンティにいわせると、身体は世界のインターフェースとなって、それを意識に伝えているのです。だとすると、身体を先に慣れさせれば、意識の方も慣れてくるに違いありません。

 習慣化とはそういうことだと思うのです。しんどいことは、どうしても意識が拒絶してしまいます。例えば運動の習慣のように。それなら意識が働く前に、身体を動かしてしまえばいいのです。私の場合は、早起きの習慣を身につけるため、頭が言い訳を始めるより前に、まずふとんから出ることを繰り返しました。すると、いつの間にか意識が拒絶しなくなったのです。「朝だな、起きよう」というふうに。

 したがって、5月病についても、新しい環境に無理に合わさねばと気負うのではなく、ただ新しい生活、新しい行動を淡々とやっていればいいのです。考え出すとしんどくなりますから。だいたい人間は、つらい時に考え始めると、よかったころと比較したり、不満の種を探し出したりしてしまいます。そうしてどんどん負のスパイラルに陥るのです。

 そして不眠になったりしてしまいます。睡眠が不足してくると、これは5月病からうつ病などのさらに重い症状に進んでしまうから要注意です。

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