塾が家庭に与える影響

 ここからは、筆者がさまざまなご家庭を取材した中で聞いた、「もっと早くこうしていれば……!」という声をふまえて、塾通いが家庭に及ぼす影響について紹介していきたいと思う。塾を選ぶ際に、ぜひ参考にしてほしい。

 まず、食事の問題。晩ごはんまでに授業を終え、家族と一緒に食事がとれるのか、それとも「塾弁」が必要なのかで、家族の負担は変わってくる。弁当を持たせて塾に通わせる場合ならばまだ融通が効く場合もあるが、温かい弁当を届けるケースなど塾それぞれの習慣もあり、入塾してから見えない負担に気が付く場合も多い。

家庭での生活時間と受験はトレードオフ。想定レベル以上の成長を求める場合には、そうした犠牲が軋轢(あつれき)を生むことも
家庭での生活時間と受験はトレードオフ。想定レベル以上の成長を求める場合には、そうした犠牲が軋轢(あつれき)を生むことも

 また、塾ですべての学習が完結できるのかも大きな問題だ。とくにハイレベルな受験を目指すクラスでは、小学校の学習範囲を超えた塾の授業についていくのは容易ではない。こうした塾では、授業の内容を理解できなかったり、遅れてしまわないよう、フォローが必要なケースもある。中には、塾の授業についていくためとか、苦手科目の克服のために、家庭教師や個別指導にもお金を払う家庭が少なくないのだ。

 『二月の勝者』の冒頭で「君たちが合格できたのは、父親の『経済力』そして、母親の『狂気』」というせりふがある。偏差値が高く、倍率の高い名門校や人気校を受験するというのは、そういった面もあるのだ。

 入塾したときはそうでもなかった家庭も、受験を偏差値で格付けする塾のムードに浸り続けると、このわなにはまっていく(前回の記事もチェックいただきたい)。子どもも、親の喜ぶ顔が見たいあまり「この学校が志望校と言えば親は喜ぶかな」と親に対して忖度(そんたく)してしまい、心から行きたいと思う志望校を言えなくなってくる。

次ページ 過酷な現実とどう折り合いをつけるのか