夏休み真っ盛り。最近の小学校では授業時間確保のため、昔のように8月いっぱいはお休みとする学校は少なくなってきています。受験生にとって夏は、塾や自宅学習でグンと学力を伸ばす時期。この夏の頑張り次第で志望校をガラリと変えるご家庭も出てくると思います。

 中学受験の志願者数が増えたといわれる首都圏。最難関の男女御三家や共学上位校は相変わらずの人気が続きます。しかし、人気なのは御三家や上位校だけではありません。ここ数年、これらの学校をしのぐ勢いで多くの志望者を抱える人気校が登場しています。その一つが、豊島区にある豊島岡女子学園 中学校・高等学校(以下、豊島岡女子)です。

豊島岡女子学園のホワイエ (画像:豊島岡女子学園)
豊島岡女子学園のホワイエ (画像:豊島岡女子学園)

 豊島岡女子は特に理系教育で注目されており、医学部や薬学部といった理系学部へと進学する生徒が多いことでも有名な学校です。同校の2022年の系統別大学合格者の割合は、1位が理学・工学部(25.9%)、2位が医学部(16.5%)となっており、他の女子校と比較しても非常に高い理系率と言えます。また、今年度から「探究学習」が本格的に始動しました。

本当に通いたいという子に来てほしい

 そんな豊島岡女子は、2022年度中学入試では、2月3日、4日の倍率が前年度よりさらに増えて約10倍へと膨れ上がりました。女子御三家と呼ばれる学校の入試は2月1日の1回だけである中で同校では複数の受験日を設けており、御三家を目指す生徒も受験できるという事情も倍率を上げている要因だと思います。

 さらに、同校は22年度入試から高校の募集を停止することを発表しています。中学入試しかない完全中高一貫校となったことも受験者数を増やした要因でしょう。女子の高校受験においての偏差値の上位校が減っていることも、中学受験を考える家庭の増加につながりました。

 また、ほぼすべての公立中高一貫校も完全中高一貫化することを発表しています。高校募集の停止の事情は学校によってそれぞれですが、豊島岡女子ではどんな理由で完全中高一貫化を決めたのでしょうか。

 完全中高一貫化した1つ目の理由として挙げられるのは、高校入試における志願実態です。学校側で出願者を分析したところ、都立上位校の併願校としての人気が高く、同校を第1志望とする生徒が減少していることが分かりました。高校入試における都立人気が復活しつつある中、同校としては「豊島岡に本当に通いたいと考えている生徒に入学してほしい」という気運が高まりました。

次ページ 中学入試生と高校入試生のギャップ