遠征受験や移住も辞さない家庭も

 2022年度の中学入試シーズンが終わった。昨年同様、新型コロナ禍真っただ中の入試となった今回は、名門校に向けてツアーを組んでの遠征受験は減少傾向にあった。遠征受験とは、地方の大手塾が開成や灘といった難関校を受験する塾生を集めてツアーを組んで参加するというもの。逆に都内から灘などを受けにいく場合ももちろんある。

 中には、塾内で成績優秀な生徒を集め、交通費や宿代も全て塾持ちで受験に挑ませるケースもある。引率も塾の講師が全て行い、受験校近くのホテルをフロアごと貸し切りにして入試直前の勉強とメンタルケアもするという。塾としては「○○中学○人合格」という宣伝文句に使えるため、これくらいの出費は広告費のうちと考えているのだろう。

 ツアーがなくても挑戦させたいという家庭は自力でホテルと交通手段を整えて受験に向かう。合格の暁には学校近くのマンションに母子移住するという家庭もある。このように難関校入試の人気は相変わらずある。

 それと同時に、中学受験を目指す家庭が増え、志望校を決める軸も偏差値一辺倒ではなくなりつつある。中でも、ユニークな取り組みや特色のある学校に人気が集まるようだ。

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