個人投資家として債券にいかに投資するか

 さて、先にお伝えした通り、個人投資家にとっては直接での債券投資は容易ではありません。そのため、債券投資は、ETFや投資信託を介して間接的に行うことが最適な選択肢となるでしょう。投資できる銘柄数は限られますが、証券会社や銀行を介して個人向け国債や新規発行の社債を購入することも可能です。「先物」と呼ばれるデリバティブを用いて投資を行うことも可能ですが、商品性が複雑であることに加え、過度なリスクテイクにつながる可能性もあるため、経験の浅い個人投資家は控えるべきでしょう。

 そして、次に検討すべきは個人投資家にとっての債券投資の位置付けです。端的に言うと、やはり安定かつ安全な資産として投資すべきだと考えます。信用格付けの高い債券、特に国債は「安全資産」として認識されています。そのため、パンデミック(世界的大流行)の発生や地政学リスクの高まった場合では、債券需要が高まり、金利が大きく低下する傾向にあります。

 一方で、株式についてはリスク性資産として、同様の事象が発生した際には大きく価値を落とす傾向にあります。そのため、株式だけではなく、こうした安全資産をご自身のポートフォリオに組み入れることで、「もしも」のリスクを低減させることが可能になるのです。ただし、ハイ・イールド債のように信用格付けが低い債券は、リスク事象が発生した際には、株式と同様に大きくパフォーマンスを落とすため、注意が必要です。

 また債券は、生活費の投資収入に対する依存度が高い人にとっても魅力的な資産です。クーポン支払いのスケジュールと金額が一定であり、安定的な収入を期待できることから、資産運用のフェーズが「形成」から「取り崩し」に変化した際に頼れる資産になります。ETFや投信で債券を間接的に保有していた場合、パフォーマンスや構成銘柄の変動によって、得られる分配金の水準は若干の変化を受けるでしょう。しかし株式の配当と異なり、資産からの収入にある程度の規則性を期待できるため、家計の収入原資の一つとしてみなすことも可能になります。

 個人投資家は、株式ばかりに注目しがちです。そのため、普段目にする情報も株式のことばかり。確かに債券には「資産価値が10倍!」「短期間に大きく増やす!」といった夢のような話は存在しません。面白みに欠ける資産と思われている節すらあります。しかし、老後を見据えて実直に運用する場合には、中長期的な投資パフォーマンスの改善につながる魅力的な資産です。やや複雑な商品性かつ情報が少ないことに言い訳せず、今回の記事をきっかけに債券への投資を検討してみてはいかがでしょうか?

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