金利と価格の関係性はシーソーで考える

 債券において最もとっつきにくい内容が、「金利と価格」についてでしょう。私自身、債券の仕事を始めて最初にぶつかった壁がこの金利と価格の関係性でした。一般的な概念としては以下の通りで、難しい言葉で結論を言ってしまうと、「金利と価格は逆相関」の関係にあります。

つまり、
金利が上昇すると、債券価格は低下する
金利が低下すると、債券価格は上昇する

ということです。

 金利と価格の関係性については、図1のような「シーソー」をイメージすると理解が早まると思います。メディアでは、債券市場の説明において「債券は上昇」や「金利は低下」など主語を変えている場合があります。「金利」が主語になった場合は、そのままなのですが、「債券」が主語になった場合は、債券価格の変動について語っていると考えてください。そのため、「債券は上昇」と記載されていた場合、「債券価格は上昇し、金利は低下した」と読み替えることができます。

 何の前提知識もなく、金利と価格の説明を聞いてしまうと、当然、混乱してしまいます。私自身、こんな疑問を持ちました。「金利が上昇するということは、受け取れるクーポンが増えることになる。クーポンが増えれば、債券の需要が高まるだろうから、価格が上昇しないとおかしい!」と。

 こうした疑問はあるで意味正しいのですが、債券の性質を考慮すると誤解であることが分かります。商品によって異なりますが、基本的に債券とは、その満期、つまり借金返済の期日まで持ち続けた場合、購入から満期までの期間中の収入が変わらない資産です。金利の変化によって、収入が上下するように思われますが、それはあくまで「その時点で債券を買ったり、売ったりした場合」の金利水準なので、すでに保有している債券から入ってくる収入には変化がないのです。

 こうした特性を説明するために、単純化した例を使ってみましょう(表1)。10月1日に1年間に5円のクーポン収入がある債券が100円で市場に出回っていたとしましょう。その場合の利回り(金利)は5.00%です。翌日、同じ債券の価格が80円まで下落したとします。その場合でも、年間のクーポン収入は変化しません。一方で、債券価格の下落によって金利は6.25%まで上昇しています。これは、より低い価格で同じ金利収入(5円)を得られるため、投資利回りが向上したのです。当然、10月1日に100円で債券を購入してしまった投資家にとっては、同じ債券を80円で売られているため、大きな損失を抱えることになります。

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 本来は、「デュレーション」や「コンベクシティ」という金利と価格の関係性を表す概念が存在しますが、今回はこうした難しい話を省き単純化したお話になります。

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