50歳になると、突然目の前に現れる「お金の不安」。日本人の平均寿命が延び続ける中、将来への備えの必要性をヒシヒシと実感するタイミングではないでしょうか。

 50代は、定年後を見据え、自分の資産運用戦略を見つめ直す“ラストチャンス”。年金受給額の減少や医療費負担の増加、そしてコロナ禍以降の増税など、家計の不安は募るばかり。今まで貯蓄したお金を投資すべきなのか、はたまたリスクは取るべきではないのか。今の資産運用ブームに乗ったほうがいいのかと、悩んだことは一度や二度ではないと思います。

 資産運用のセオリーの一つに、「投資は若いうちから始めるのがよい」というものがあります。これは、投資期間が長いほど、複利(投資利回りの累積)の効果が高くなることを示しています。しかし、若いうちに資産運用を始めなかったからといって、焦る必要はありません。「急(せ)いては事を仕損じる」という言葉は、投資においても同じ。50歳からでも十分、間に合います。むしろ、平均寿命がこれだけ延び、どの家庭でも長期戦略の立案を迫られている今の流れを見ると、時間のゆとりができ、老後の不安が現実味を帯びてくる50代から資産運用を始める価値は十分にあります。

 実際に、利回り表を用いて毎月の積立金額別でどれだけ資産をためられるかを簡単に試算しました(表1、表2)。

表1
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表2
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 50歳から年金受給開始年齢の65歳まで、毎月一定金額を積み立て、保守的に年率3.0%で運用するとします。今現在、資産がなかったとしても、毎月10万円ずつ投資に回したとしたら、65歳の時には2275万円(積立金:1800万円、投資リターン:475万円)もの資産を手にしていることになります(表1)。積立金が5万円だとしても、1138万円(積立金:900万円、投資リターン:238万円)です。

 資産運用では投資期間が長くなればなるほど、複利の効果によってリターンが増加するため、15年という長期間にわたって運用することで、大きな投資リターンが期待できます。

 つまり、50歳の時点で全く資産運用をしてこなかったとしても、リターンはしっかり受け取れます(表2)。

 また、リスク性の高い投資、つまり資産の増減幅が大きくなりやすい投資に飛びつかなくても、毎月の積立金額と運用期間によっては、今からでも老後の資金を得ることが可能です。

 上記の試算の通り、50歳であってもまだまだ時間はあります。これまでやってこなかったからといって気後れする必要は一切ありません。今からでもできることをやっていくことが、将来の経済的なゆとりを得るための秘策なのです。

資産運用コストに厳格になれ

 ここからは、筆者の機関投資家としての経験に基づいた、個人投資家に参考にしてほしい観点についてご紹介します。もっとも、投資のスタイルは個人によって大きく異なるため、あくまで一例です。投資家マインドを身につけるための、一つのエッセンスとして参考にしていただければと思います。

 資産運用を始めたばかりの人は、毎日株価を熱心にチェックし、自分の資産が上がったかどうかを気にしてしまいます。必ずしも、毎日チェックする必要はありませんが、投資のリターンに気を配ることは非常に重要です。しかし、本当に気にすべきは、投資のリターンではなく、投資に掛かるコストも考慮した「トータルリターン(総合収支)」です。

続きを読む 2/4 信託報酬などの経費に対する感応度を高く持つ

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