さらに、21年入試で大幅に増えた背景には、複数の要因が考えられるという。

 「1つは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響です。各大学はこれまで過去のデータを見て合格者数を出していたと思いますが、コロナ禍の21年入試では受験生の傾向が変わりました。東京都内の大学は大幅に志願者を減らし、合格しても地方の大学を選ぶ受験生も増えたとみられます。そのため、繰り上げや追加合格が大幅に増えたのでしょう。大学の関係者は『22年入試も歩留まりが読めない』と話しています。

 また、早稲田大、上智大、青山学院大、立教大に関しては、21年に入試方式を変えました。そうなると、どれくらいの合格者を出して、実際にどれくらい進学してくれるのかはますます読みにくくなります。特に、入試方式を大幅に変えた上智大と立教大で繰り上げ合格が多かったのは致し方ないところですね」

全国の私立大学が「定員割れ」でも都内は100%超

 ところで9月末、21年入試について興味深いデータが発表された。日本私立学校振興・共済事業団は私立大学などの入試志願動向を毎年調査している。21年は全国605の私立大学を対象に調査が行われ、そのうち597大学が回答した。

 この調査によると、私立大学全体の入学定員充足率は99.81%だった、前年の102.61%から2.80ポイント下げて、調査開始から初めて「定員割れ」の状態になった。全体に占める定員割れの4年制大学の割合は46.4%で、前年よりも15.4ポイントも増加している。

 「定員割れ」になったのは、18歳人口が前年から2万6000人減少したこと、大学入試改革の影響で前年に安全志向で志望校を選ぶ受験生が増えて浪人生が減少したこと、コロナ禍で外国人留学生が来日できなかったことが大きく響いている。

 地域別に見ると、大都市圏と地方の格差が広がっていることも分かる。都道府県別の入学定員充足率を高い順に見ると、大阪府103.74%、宮城県100.98%、東京都100.80%、北海道100.54%、福岡県100.57%と、100%を超えたのはこの5都道府県のみ。また、前年よりも定員充足率が上昇したのは京都府だけだった。

 都道府県別の大学の数では、東京都内が突出して多い。調査に回答した117大学のうち39大学が定員割れだったが、都内全体では100%を超えた。他のエリアに比べれば大規模な大学が多く、人気が高い大学が都心に集中しているため、全体で見れば多くの学生が集まっていることになる。

 それに比べて地方の大学では、定員割れが深刻だ。地域別に見ると、定員充足率が最も低かったのは四国地方の87.21%で、前年よりも4.16ポイント減。次に低かったのが広島県を除く中国地方で、87.91%と9.34ポイントも減少した。いずれも少子化の影響を大きく受けていると考えられる。

次ページ 専門家は「強気で受験を」とアドバイス