インターナショナルコースは高校に入るとAGに一本化する。AG、SGともに高校から別のコースも選べるが、SGから高校でAGに進み、海外の名門大学に進学した生徒もいるという。

 以前は帰国子女が多いからといって、海外の大学に進学する生徒が多いわけではなかった。広尾学園の17年の海外大学合格者数は、延べ人数で18人だった。それが、18年に82人(うち既卒者4人)に増えると、19年は74人、20年は79人(うち既卒者4人)と推移し、21年に222人(うち既卒者4人)に一気に増えた。たった5年間のうちに合格者数が10倍以上に増加したのだ。

 21年の海外大学への合格実績について、インターナショナルコースの植松久恵統括長に話を聞いた。インターナショナルコースは、以前は1クラスだったが、21年の卒業生から2クラスに増えた。これまでで最も多い59人の生徒が在籍したという。

 「例年よりもコース全体の人数が多かったのは事実です。ただ、インターナショナルコースの全員が海外大学を最初から志望しているかというと、そうではありません。これまでは多くの生徒が総合型選抜入試で私立大学を目指すか、高校から他のコースに移って国内の大学を受験していました。それが21年の卒業生は、(インターナショナルコースの)59人のうち34人が海外の大学に挑戦し、全員がいずれかの大学に合格しました。ほとんどの生徒は国内の大学と併願しています。第1志望が国内の大学で、海外の大学に合格しても国内に進学した生徒も数人います」

躍進の裏に徹底した情報収集と外国人教員のサポート

 では、なぜ21年は合格者数がこれほど増えたのだろうか。植松統括長によると、その要因のひとつに、この数年間で海外の大学についての情報を豊富に集めることができた点があるという。

 インターナショナルコースでは、米国、英国などの有名大学のパンフレットがフロアの一角に並ぶほか、世界中の数百に及ぶ大学の資料が取りそろえられている。

海外大学のパンプレットが多数、手に取れるように用意されている
海外大学のパンプレットが多数、手に取れるように用意されている

 広尾学園の教員は、コロナ禍の前には年に数回海外を訪問し、大学の説明会などに参加していた。さらに18年と19年には、海外大学フェアの「カレッジフェア」を広尾学園で開催。19年には170を超える海外大学の関係者が訪れて、ブースを設けて質問や相談に対応した。このフェアには近隣のインターナショナルスクールの生徒も参加している。

 「コロナ禍になるまでは、年間を通して200以上の海外大学の関係者に来ていただいていました。学園としても海外大学の情報を常に集めています。生徒が海外で学びたいと思っている環境に結びつけてあげたい。集めた情報をもとに、生徒が求める環境に合う大学について、教育内容や雰囲気などを伝えています」

 もうひとつの要因に教員によるサポートがある。インターナショナルコースには25人の外国人教員が在籍している。受験期になると、それぞれの教員が海外の入試で求められるエッセーや面接などの指導にあたっているという。

 「入試の出願時期には、教員は寸暇を惜しんでエッセーのチェックや面談の指導をしています。面談では生徒の良さを引き出すことに重点を置きます。ただ、学校の役目はここまでで、実際の入試に対応できるかどうかは生徒の個々人の力です。双方が相まって、200人を超える合格者数を出す結果になったのだと思います」

 コロナ禍では教員の海外出張も、「カレッジフェア」の開催もできていない。それでも、海外に進学する卒業生が増えたのは、ここ数年に蓄積してきた知見によって生徒をより手厚くサポートできるようになったことが大きい。

海外大学は夢の進学先ではなくなった

 一方で、海外の大学への進学を希望する際、高いハードルとなるのが学費の高さだ。大学にもよるものの、高額な大学では学費と寮費を含めて年間700万円から800万円ほどかかる。さらに生活費も必要だ。費用の高さから諦めている高校生も多いのではないだろうか。

 そこで海外への進学を現実に近づけるのが、返済不要の奨学金を受給することだ。広尾学園から海外に進学した生徒のほとんどが、何らかの奨学金を得ていると植松統括長は説明する。

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