コロナ禍で実施された2021年入試では、大学の進学先に「異変」が起きている。ここ数年高い人気を誇っていた国際系学部が軒並み志願者を減らした一方、進学校や国際系の高校で海外大学への合格者が増えているのだ。なぜ海外大学への進学が増えているのか。その理由を探るため、海外大学の合格者数全国トップの中高一貫校、広尾学園(東京・港区)を取材した。

コロナ禍で国際系学部は敬遠されたが……

 国公立大学と私立大学ともに、2021年入試で大きく志願者を減らしたのが国際系学部だった。この連載の第1回「『狙い目』大学はどこだ? 21年の結果でみるコロナ禍入試戦略」でも触れた通り、国公立では東京外国語大学や国際教養大学、私立では選抜方式の変更もあった早稲田大学国際教養学部、青山学院大学国際政治経済学部などが大幅な志願者減となった。

 国際系学部が避けられた最大の理由は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響だろう。国際系学部に進学する学生の多くは留学を目指すが、世界中で感染が広がったことで留学の取りやめを余儀なくされたからだ。世界的な感染拡大がいつまで続くか分からない中で、21年入試では進路を変更した受験生が少なくなかったとみられる。

 ところが、国際系学部の志願者減少とは逆ともいえる動きが21年入試では同時に起きていた。それは、海外の大学に多くの合格者を出していた高校では、コロナ禍にも関わらず、海外大学にさらに多くの合格者を出していることだ。

 21年入試において全国で最も海外大学の合格者を出したのは、東京・港区にある広尾学園。国内の難関大学に多くの合格者を出す一方、海外の大学に現役で合格した延べ人数はなんと218人に及ぶ。前年の75人から3倍近くにまで増加した。

 しかも、合格者数が多いだけではない。英教育専門誌「Times Higher Education」が発表している「THE世界大学ランキング」の上位にランクしている大学にも多数合格している。

 21年のランキング7位の米カリフォルニア大学バークレー校に3人。9位のプリンストン大学に1人。15位のカリフォルニア大学ロサンゼルス校に2人。18位のカナダ・トロント大学には10人も合格している。ちなみに21年のランキングで東京大学は36位、京都大学は54位だった。

 全国の私立の進学校や、グローバル教育に力を入れている高校でも同様の傾向が表れている。広尾学園に次ぐ合格者数を出したのは東京都立国際高校。前年よりも41人増の延べ121人(既卒者含む)の合格者を出した。カリフォルニア大学バークレー校に1人、世界ランキング11位のイギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンに1人、16位のユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに4人が合格している。

 3番目に多い合格者を出したのは、沖縄県の沖縄尚学高校。そのほかの高校からも、世界ランキング1位の英オックスフォード大学、2位の米スタンフォード大学などへの合格者が出ている。首都圏の高校だけでなく、地方の高校からも海外大学を受験し、名門大学に合格するケースが増えているのだ。

海外大学の合格者数は5年間で10倍以上に

 なぜコロナ禍にかかわらず海外大学の合格者が増えているのか。その理由を探るべく広尾学園を訪れた。

海外大学への現役合格者が218人(延べ人数)と急増した広尾学園
海外大学への現役合格者が218人(延べ人数)と急増した広尾学園

 広尾学園は前身の順心女子学園から07年に改称し、共学の中学・高校一貫校として生まれ変わった。その際に難関大学を目指す本科、医系や理系の大学を目指す医進・サイエンス、それにインターナショナルの3つのコースを設置した。

 インターナショナルコースは、9階建ての校舎のうち2つのフロアを占めている。高校では科目の選択方法によっては8割以上の授業を英語で履修することが可能で、校舎内の日常会話でも英語が飛び交う。

 インターナショナルコースと聞くと、帰国子女ばかりが生徒にいると思うかもしれないが、中学に入学した時点ではそれほど英語力がなかった生徒もいる。

 広尾学園ではインターナショナルコースの中学入試を、2つのグループに分けて実施している。1つは授業を英語で行うアドバンスドグループ(AG)。受験する生徒は帰国子女が中心だ。もう1つはスタンダードグループ(SG)。こちらは中学入学時に高い英語力がなくても、英語を積極的に学びたいという学生が受験する。

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