コロナ禍で実施された2021年の大学入試は、一部が頓挫した大学入試改革の影響もあり、これまでにはなかった混乱が生じた。新型コロナウイルスの感染拡大は続き、22年の入試にも影響する可能性がある。特に、首都圏、関西圏の大学志願者は大幅に減少しており、22年入試でも読みにくい面がある。志望校選びの先行き、どこが「狙い目」なのかを探ってみよう。
学校や地域によって違いはあるが、まもなく高校生の夏休みが終わる。9月になれば、以前はAO入試と呼ばれていた総合型選抜と、大学入学共通テストの出願が始まる。大学受験生は志望大学や併願校を絞る時期を迎えている。
2022年の大学入試も、前年に続いて新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けることが避けられない状況になってきた。実際に21年入試では、首都圏、関西圏の私立大学の志願者が激減するなど、志願者数の動向に大きな変化が生じた。
さらに、21年には、大学入試センター試験に代わる大学入学共通テストが始まったものの、共通テストの柱の一つだった国語と数学の記述式導入は採点の公平性などが問題視され導入が見送られた。もう一つの柱だった英語の民間試験も、受験生の経済格差の解消が難しいとして導入されなかった。いずれも今後の導入について断念することを、萩生田光一文部科学大臣が表明している。
新型コロナの感染拡大と大学入試改革をめぐる混乱に受験生が振り回されたのが21年入試だったと言える。
この連載では21年入試の変化を検証しながら、22年入試の動向を探っていく。1回目は、コロナ禍での大学の志願者数の変化と、「狙い目」の大学について考えてみたい。
私立大学の志願者減少傾向は続くか
コロナ禍に見舞われた21年入試はそれまでのものから激変した。
顕著に表れたのが私立大学の志願者数だった。大学入試に関する調査、研究などを行っている大学通信によると、一般選抜による全国の私立大学の志願者は、前年比で12%の減少。2年連続で過去最大の減少幅を記録した。
原因はいくつか考えられる。一つは浪人生が大幅に減ったこと。私大の志願者全体での内訳は分からないものの、大学入学共通テストの志願者で見ると浪人生は前年の10万376人から8万1007人と、1万9369人減。約2割も減少した。大学入試改革によって共通テストや私大入試の傾向が変わることを嫌がり、例年よりも浪人生全体が減ったと考えられる。
もう一つは、新型コロナの感染拡大。首都圏や関西圏の大学では地方からの受験生が減り、全体の志願者減少に拍車をかけたとみられる。感染者数の多い地域の大学ではオンラインでの授業を余儀なくされており、対面で授業を受けられる地方の大学に進学する志向が高まった。景気の先行き不安が増大する中で、「首都圏や関西圏で下宿するよりもお金がかからない自宅から通える大学を」といった経済的な理由も背景にあると考えられる。
この傾向は、首都圏の難関校にも表れた。早稲田大学の21年入試の志願者数は9万1659人で、前年よりも1万2917人も減少。減少率は12%に及ぶ。志願者数が10万人を割ったのは1972年以来49年ぶりで、いかに志願者を減らしたのかが分かる。

詳細を見ると、浪人生の志願者数は2万8234人で、前年よりも約5000人減少した。さらに、高卒認定などを除く関東以外からの志願者が、前年よりも4600人余り減少。前年よりもさらに「関東ローカル化」が進んだ形だ。
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