時代が変われば新しいキーワードが生まれる。知らないままだと、恥をかくことも。そんな新たな時代を表す注目用語をまとめたのが、『日経キーワード2021-2022』(日経HR)。本書から一部抜粋して重要キーワードを紹介します。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

円借款

 日本の政府開発援助(ODA)で行う各種支援・協力のうち、開発途上国に対して、経済発展や福祉の向上を促すための資金を円で貸し付ける枠組み。開発途上国を直接支援する二国間援助には返済を求めない「贈与」もあるが、「借款」は「贈与」よりも大規模な支援を行いやすく、経済や生活に欠かせない道路や鉄道、発電所などのインフラ建設支援に適している。また、返済義務を課すことで、途上国の主体性と自助努力を促し、日本との中長期的、安定的な関係構築につながるという外交的な側面も持つ。

 2018年のODA実績額は約141億6352万ドル(約1兆5642億円)。経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会の加盟国で米国、ドイツ、英国に次ぐ4位だった。このうち円借款承諾額の総額は約1兆2500億円で、承諾先の上位国はインド、フィリピン、バングラデシュの順となっている。かつて日本は政府開発援助(ODA)大国と呼ばれたが、財政悪化を背景に退潮気味だ。

 政府は近年、途上国を対象としたインフラ輸出に注力しているが、案件獲得に動く中国などとの競争が激しくなっている。その対抗上から、政府は円借款の手続きを従来の3年程度から1.5年に短縮するなど規制緩和の取り組みを進めている。また、日本企業の受注などを条件とする一方で、金利を低く抑えたSTEP円借款の活用を進めるほか、途上国のニーズに応じユーロ建て、ドル建てで開発資金を貸し出す借款制度も始めている。

(本内容は、日経キーワード2021-2022発行時点(2020年12月)の内容になります。)
日経キーワード 2021-2022』(日経HR編集部)

 ウィズコロナ時代必携! 時事・経済ニュースがみるみるわかるようになり、短時間でビジネスや社会の動きをつかめる。14テーマ、キーワードは500以上収録。新しい生活様式、総合取引所、菅内閣、ギグワーカー、脱プラスチック、DX、VUCA、インフォデミック……。

 

 就職、公務員試験、資格試験、昇進試験、入試、ビジネスなど、さまざまな場面で活用できる。巻頭カラー企画は、コロナ禍と技術革新で変わる近未来の様子を見通す「どう変わる? “新しい生活"」。巻末の「資料編」には日経ならではのミニ辞典として、「経済・金融」「国際」などの基礎用語をまとめた。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。