バブル崩壊の原因は07年の金融恐慌に?

 さて、こうした29年10月から始まった株式市場が乱調となった原因をどう推察すべきだろうか? 最もあり得る解釈としてはこうだろうか。「米国経済が悪化したことによって、リセッションに突入。先行きを懸念した投資家が株式を売却した」というものだ。確かに、ファンダメンタルズの悪化が株価の暴落を招いたとの結論は非常に導きやすく感じる。そして、米経済減速の兆しは確かにあった。しかし、当時の資料を確認すると、それだけが株価の暴落とその後の恐慌の原因であったとは言えないことが分かる。

 では、他に何がグレート・クラッシュを引き起こす要因となったのだろうか。他の原因を考察する前に、少し前に同じく米国で生じたもう1つの経済事件について触れておきたい。それは、07年の米国で、資金流動性の逼迫によって生じた「金融恐慌」だ。

 07年の金融恐慌は、資産バブルの崩壊が引き金となったわけではない。経済成長著しい米国では、製造業を中心に資金需要が高まっていた。成長への投資資金を欲する産業界からの資金需要は力強く、多くの企業が株式発行を通じて資金調達を企図する中で、金融市場における資金流動性は逼迫しつつあった。

震災によって資金需要が逼迫

 そんな逼迫する資金流動性に拍車をかけたのが06年4月18日に発生した、サンフランシスコ大地震だ。マグニチュード8以上とも推定される巨大地震が西海岸の主要都市であるサンフランシスコを襲った。3000人以上の死者行方不明者を出し、地震やその後生じた大火災により都市機能の大部分が破壊し尽くされた。

 建国以来最大の天災が報道されるや否や、投資家のセンチメント(市場心理)は著しく悪化し、米国の株価は大幅に下落。特に、地震によって大きな打撃を受ける可能性が高い保険会社や鉄道会社の株式が売り浴びせられた。

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