人類史の中で幾度となく繰り返されている資産バブル。コロナ禍で高騰する資産価格を目の当たりにし、人々はバブルに対するある疑念を抱いている。「今の相場は『コロナバブル』なのか?」と。温故知新の言葉に倣えば、過去を知ることで、疑念に対する答えを得られるはずだ。世界で生じた過去のバブル事例について、その形成経過や崩壊過程を学ぶことで資産バブルの本質を考察するとともに、「コロナバブル」の有無の検証を行う。(写真=PIXTA)
シリーズ
大崎匠の温故知新「バブル史」

7回
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球根1つで豪邸が? チューリップマニアは酒場から生まれた
17世紀のオランダではチューリップがステータスシンボルであった。人気の高い希少種に目をつけた投機家たちはデリバティブ(金融派生商品)取引を駆使した結果、価格は高騰。しかし、わずか3カ月でバブルは終焉を迎えた。
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大恐慌の対応に失敗したFRBから学ぶアフターコロナへの教訓
1929年、米国で発生した株価の大暴落「グレート・クラッシュ」は投機熱の高まりと景気悪化が背景にあった。世界恐慌の引き金となったこのバブル崩壊の隠れた要因には創設されたばかりのFRB(米連邦準備理事会)の判断ミスがあった…
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ウォール街大暴落の遠因となったもう1つの金融恐慌で起きたこと
1929年に起きたウォール街のグレートクラッシュ(大暴落)。これに先んじる07年、米国を金融恐慌が襲い、米連邦準備制度(FRB)誕生きっかけにもなった。しかし、その新たな銀行制度がもたらしたあつれきと混乱こそが、29年の…
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江戸時代のバブルに学ぶ 出口戦略の失策が金融危機を生む
「なんでもやる」を実践し、赤字になっていた江戸幕府の台所を救った荻原重秀の貨幣改鋳。金の含有量を減らした元禄小判への転換は成功したが、その後元禄バブルが発生する。バブルによるハイパーインフレが発生した背景と、その後のバブ…
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江戸のMMT? 元禄バブルの“元凶”貨幣改鋳は悪手だったのか
江戸時代にも「バブル経済」が存在した。貨幣改鋳という金融緩和政策によって生み出されたバブルは、後に続く緊縮財政などの引き締め政策によって崩壊。緩和マネーに浮かれる現代の金融市場は、「元禄バブル」と同じような結果をもたらす…
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明治の日本を熱狂させた「ウサギバブル」に学ぶ投機の恐ろしさ
明治時代に突如として発生したウサギバブル。金融バブルとは異なり、物品をベースにしたバブルは、自治体の規制に伴い一気に弾けることに。日本版チューリップバブルとも呼ばれるコモディティバブルからは、何を学べるのか?
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「バブル崩壊」の語源 18世紀英国で起きた「南海泡沫事件」の顛末
2020年春先、金融市場は荒れに荒れた。米国の株式市場では、連日大幅な下落を記録し、取引時間中の急激な下落を緩和するために、サーキットブレーカー(売買を一時中断する措置)が幾度となく発動した。米国だけでなく、日本、欧州、…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回