想定外の場所で、時代が追いついた

 当時を振り返ると先進的だった半面、Google Glassは試作機の域を出ないデバイスであった。バッテリーの継続時間は短く、常時使用には耐えない。奇抜な見た目や、プライバシーの観点での課題があり、何より個人向けにもかかわらずラップトップを超える1500ドルといった価格は高かった。

 こうした過去の失敗があり、B2C(個人向け)からB2B(企業向け)領域にターゲットを変更。その結果、エンタープライズシーンでの活用を見込んだ参入が増えた。

 まずは、GoogleのGlass Enterprise Edition 2。洗練されたデザインと、カメラ画素数をアップデート。また省電力化により、使い勝手も大幅に向上した。他にも、防じん・防滴性能でIP54に準拠し、ヘルメットと連携しているサン電子のAceReal One。米RealWear社は豊富なアプリケーションとノイズキャンセリング機能が売りのRealWear HMT-1を発売するなど、選択肢が豊富になったこともスマートグラス界隈(かいわい)の特徴と言えるだろう。

 何ができるかいまいちわからなかったスマートグラスも、B2Bニーズに合わせた設計へと変化。具体的には、製品組み立てマニュアルの表示やコミュニケーションの円滑化、両手をふさぎたくない作業場所での音声などによる機器操作、作業者の映像をストリーミングで確認といった、デバイスを活用した作業効率化や管理職の負担軽減につながっている。

各種仮設機材のレンタル事業を行う杉孝(横浜市)では、スマートグラスをヘルメットに装着。ハンズフリーで映像や写真を遠隔地から送付。距離という壁なく、足場点検を実施できるようになった。また、同社ではMR教育コンテンツなども活用しているのが特徴だ(画像提供:杉孝)
各種仮設機材のレンタル事業を行う杉孝(横浜市)では、スマートグラスをヘルメットに装着。ハンズフリーで映像や写真を遠隔地から送付。距離という壁なく、足場点検を実施できるようになった。また、同社ではMR教育コンテンツなども活用しているのが特徴だ(画像提供:杉孝)

 建設現場では作業者に対する指示だけでなく、工事行程の録画、老朽化施設の映像での確認などで導入が進む。また、無人でのショベルカー操作や、ドローンによる農薬散布といったマシンなどの操作にもスマートグラスの活用が見込まれている。

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