8月も終わりを迎え、インターンシップも今日で一段落だ。昨年に引き続き、コロナ禍でのインターンシップの運営は特に難しく、学生側もリモート中心とならざるを得ないインターンへの参加を敬遠しがちだ。しかし、そんな中でも上位校の学生に話を聞くと意外な企業のインターンシップが人気という話が出た。その企業は、インテリアの大手企業「ニトリ」だ。東大や京大、慶應や早稲田など、就職上位校の学生もこぞって参加。他の人事部もニトリのインターンシップを模範にするなど新卒採用において頭角を現している。

 実際、口コミ就活情報サイト「楽天みん就」においてもインターンシップの人気企業ランキング1位となり、入社倍率も近年上昇傾向だ。ニトリといえば、コストパフォーマンスが良い身近な家具の小売業といった印象が強く、ランキングでみかけることはなかった。ではなぜ、ニトリがここまでインターンシップで人気を博しているのか。今回、インターンシップの仕掛け人の一人、ニトリホールディングス新卒採用部シニアマネジャーの高野壮史氏に話を伺った。

ニトリはインターンシップをいつ頃から開始したのですか?

高野壮史氏(以下高野氏):本格的に開始したのは、2015年卒新卒採用時です。リアルで学生を集めて、家具や流通業界はこういったビジネスモデルです、といった話をしつつ、ニトリのビジネスモデルなどに関して理解を深めていただくようなイベントを開催していました。当時は約3000人の学生が参加してくれました。

2年連続で楽天みん就のランキング1位に。今や3万人近くが参加する人気のインターンシップへと成長しました。そのきっかけは何でしょうか?

高野氏:インターンシップで「学生が社会に出る上で必要な知識や考え方を教えること」を最優先にし、ニトリの自社アピールを二の次としたことです。学生目線では、数ある企業の中にニトリがある構造です。入社のために囲い込んでしまうことは、自分自身の就活に納得しないまま、自己分析なく就活を終えてしまうことにつながります。そういった人は、ニトリへの入社を決断していない形となり、後に自分の選択に悩んでしまうことがありました。

 そのため、学生自身が就職活動の軸や大切にしている価値観を発見した上で、流通業界を知るきっかけを作り、社会に出るための支援や、分業を学ぶ内容に変更しました。サポートの中で、「社会に出る」ってどういうことだろうという学生の悩みや心配事が、仕事の本当の楽しさに変わるインターンシップとなっています。

 自社をアピールしないという点で、一見まわりくどく見えますが、小売業界を知るきっかけになったり、会社がどういった分業で成り立っているのかについての理解につながったります。その上で、インターンシップという接点を経て入社を決断してくれる人がいたら、相互に納得した採用活動が行えるというスタンスです。その結果が、人気につながっているのではないでしょうか。

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