ここ最近ビジネス書に新トレンドが生まれている。それは異様にページ数が多い、まるで鈍器みたいに分厚い本だ。通常168~336ページがヒット作のゾーンであったが『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』は28万部 、『独学大全』は20万部の大ヒットを記録。こういった書籍がヒットしている裏側には、意外な追い風があるという――。

今までのセオリー「分厚くて重い本」は売れない

 「ここ最近ビジネス書のヒット作が大きく変わって来ている。時間ができた結果、書き手の熱量を感じられる本がより読まれる様になった」。そう語るのは、丸善書店丸の内本店の篠田晃典店長だ。 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』は28万部、『独学大全』は20万部の大ヒットを記録。

 ビジネス書といえば簡易的に情報をピックアップしたパッと読める書籍が主流であった。しかし、分厚くてもシッカリと情報を盛り込んだ本や、読み応えのある本が増えつつあり、現にヒットチャートをにぎわせている。書店員によっては暴漢に襲われても武器にできそうなことから、「鈍器本」とまで呼ぶ人もいる。その傾向も、ここ最近より顕著となっている。

分厚くて重い本は市場では好まれなかったのだが…

 ビジネス書を読む時間といえば、通勤時や休息前のスキマ時間であった。その結果、読みやすいページ数かつパッと持ち歩けるサイズ感が好まれていた。しかし、新型コロナウイルスによってそのニーズが大きく変容。今まで重くて選択肢に入らなかった書籍群も、自宅読書のお供として日の目が当たる様になった。「明らかにビジネス書の読み方が変わりました。パッと知りたいというニーズから、じっくりと良書をたのしみたいという考えに変化した。長時間の読書で読まれる本の傾向が変化したのは間違いない」(篠田店長)

 独学大全を例に挙げるとページ数は788ページ。これを薄型のビジネスバックで持ち歩こうとすれば、かばんのファスナーは簡単には閉まらないだろう。また、1~3日で読み終えられるビジネス書と比較すると、1冊を読み終わるまで1カ月程度時間がかかる場合もある。だが自分時間が確保できる今だからこそ挑戦できる1冊へと変化した。読後の達成感のある1冊に読者が向き合いたいと感じているのかもしれない。

 さて鈍器本のビジネス書群ではあるが、通常1000~1400円で売られているものと比較すると約3000円と価格が高い。また読了までに非常に時間がかかるため、期待外れだったときのダメージが大きいだろう。そこで多読家の筆者の視点で今読んでおきたいイチオシの数冊を紹介する。

続きを読む 2/3 『独学大全』

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