構造変化は数年単位だと、起きていないかのように見えることもあるが、着実に変化していることもある。例えば、暗号技術によって貨幣が仮想空間でつくり出された「クリプトカレンシー(暗号通貨)」に置き換わっていく流れなどもそうしたものの1つだろう。変化がないように見えても、今年も来年と同じままだと断言できないだろう。

価値基準の変化に対応し、自らの存在意義を問い直す

 ポストコロナ期におけるメタトレンドの1つとして、地球、人類、社会の持続可能性の追求や生態系との共生をベースとする社会的価値と、経済的価値の両立が挙げられるだろう。経済的価値優先の資本主義から、社会的な共感を中核においた資本主義へ。こうした考えによって、自社のパーパス(存在意義)を問い直し、経営の再設計に取り組む必要が出てきている。

 また、デジタル技術で人々の生活をより良いものへ変革することを目指す「デジタルトランスフォーメーション(DX)」への対応も求められるだろう。ただし、DXは導入しただけでは終わりではない。企業であれば、他社との競合関係やビジネス環境のさらなる変化に合わせたブラッシュアップを迫られる。

 企業がメタトレンドに対応するには、それまで持ち続けてきた価値基準の再定義やDXへの的確な対応が求められる。過去に大きな成功体験をし、豊富なヒト、モノ、カネ、データなどの資源を持つ企業も、自社のあり方について不断の再構成が迫られるだろう。そんな中、最近、メタトレンドへの企業の対応に関する示唆的な出来事が起きた。実際にメタトレンドに対応して行動するとはどういうことなのか、1つの例として見てみよう。

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