2021年8月にNetflixで配信がスタートしたドラマ「ザ・チェア〜私は学科長〜」が、大学関係者の間で話題になった。このドラマの主人公は「グレイズ・アナトミー恋の解剖学」や「キリング・イヴ/Killing Eve」で人気のアジア系女優サンドラ・オーが演じる英文学科の新人学科長。彼女を中心に、大学内の人間模様をコミカルに描いたものだ。

 彼女が学科長を務める英文学科は人気下落により存続の危機にあり、事態打開のために長老クラスの教授陣の首切りを大学の経営サイドから強いられるというところから物語は始まる。ここでも描かれているように人文学部の不人気ぶりは現実の世界でも深刻になっている。

 このドラマが配信されたのとほぼ同時期に、「総合科学技術・イノベーション会議(議長・菅義偉元首相)」が首相官邸で開かれた。世界トップレベルの研究開発を目指す大学の経営力向上を図るため、産業界や公的機関などの外部人材を登用した意思決定機関を大学に設置し、「稼げる大学」へ後押ししようとするものだ。15年に政府が人文学部を削減するように国立大学に求めたことと対照的な動きだ。

 人文学部の苦境はドラマの中の話だけではない。文学や哲学を勉強しても就職はできない、役立たないという刷り込みが、不人気を加速させているのは間違いないだろう。しかし、学生の本分は稼ぐことなのだろうか。これは大学教育、ひいては学問のあり方に対する大切な問いかけでもある。

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