(写真:PIXTA)
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 フードデリバリー業界の成長が著しい。コロナ禍になってから初めて利用した人も多いのではないだろうか。外出自粛を求められる中、飲食店では営業時間の短縮、店舗への入場制限などもあり、外食はままならなかった。スーパーで食品を購入するのも一苦労することもあったため、自宅にできたての料理を運んでくれるフードデリバリーサービスが急成長したことは理解しやすい。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年にとどまらず、21年に入ってからも複数社が新規参入する活況だ。

 フードデリバリーサービスはいってしまえば「出前」。旧来なら、自分の店舗の料理を客先へ運ぶことを指していた。出前の歴史は意外と古い。諸説あるものの、江戸時代初期に遊郭で働く女性たちにそばを配達したことが最初といわれている。

 その後は一般の町民にも広まり、江戸時代の浮世絵や風刺画にもそばや鮮魚を運ぶ姿が描かれている。当時は、そばやうどんを客先へ仕出しする「けんどん屋」として親しまれており、江戸時代の落語にもしばしば登場する。

 昭和になり自転車が普及してからは、片手に何重にも重ねたせいろを持ちながら自転車をこぐ姿がよく見られた。オートバイが普及してからは荷台につける「出前機」が登場。出前がより一般的になっていった。

 従来は電話での注文が主流だった出前だが、インターネットの普及によりオンラインで注文されることが多くなった。そして、出前の「デリバリー」機能が飲食店から切り離され、デリバリーを専門に扱うフードデリバリーサービスが広まっていった。

 そんなフードデリバリーの普及拡大の契機はスマートフォン向けのアプリケーションの登場だ。スマホの画面上で料理を選び、ボタン一つで注文でき、それが玄関先まで運ばれてくる。こうしたアプリの登場で、デリバリーサービスは爆発的な普及をみせることになった。

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