パケ詰まりは5Gで「パケ止まり」に!?

 今や私たちの生活必需品となったスマートフォン。日進月歩で機能が向上し、スマートフォンでできることは拡大し続けている。そのため、我々のスマートフォンに対する依存度は格段に高まった。街中のどこにいても、気になったことの検索や、行きたいレストランの予約が手軽にできる。

 「おサイフケータイ」として使われている非接触式ICカードの技術は多くのスマートフォンに内蔵されており、買い物の決済から電車やバスなどの公共交通機関の乗車に広く利用されている。ゲームで遊んだり、動画を視聴するエンターテインメントもスマートフォンで楽しめる。

 もはやスマートフォンなしの日常生活など考えられない。しかし、忘れてはいけないのは、カメラ機能、ダウンロード済みの動画、画像を見ること以外、ほぼ全ての機能は、通信できなければ使えないことだ。

 そして通信可能であるだけでなく通信速度が重要になってくる。通信速度が遅いとスマホがスムーズに動作せずイライラしてしまう。こうした現象は「パケ詰まり」と呼ばれている。アンテナが立っている、つまり通信できているのに通信速度が極端に遅くなる状態だ。これは主に利用者による通信が集中することによって起きるが、過集中による通信途絶を避けるために、携帯電話事業者が通信速度を制限して起きることもある。

 多くのスマートフォンユーザーは、パケ詰まりを経験したことがあるだろう。ただ、一時的に不便を感じても、スマホの機能が全く使えなくなるなどのクリティカルな障害にはなりにくかった。

 そして、今は5G(第5世代移動通信システム)の時代だ。2020年3月から、5Gの一般向けサービスが始まっている。第4世代と比較して圧倒的に速い通信速度に感動する声が上がる一方、5Gに乗り換えたユーザーから「パケ詰まり」より厄介な現象が報告される事態となった。「アンテナが最大の5本立っているのに全く動作しない」「ブラウザーが急にエラーになってしまいページが表示されなくなった」という声である。これが「パケ止まり」だ。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 通信(=パケット)が止まるという表現通りの現象だ。通信が完全に止まってしまうと様々な不便が生じる。動画が通信エラーによって視聴不能となるだけでなく、コンビニなどで電子決済ができず、レジ前で立ち往生してしまう。スマートフォンに内蔵されたICカード乗車券が使えず、駅の改札を通れず、会社に遅刻するといったことも起きかねない。スマートフォンが生活必需品となったからこそ、一時的にでもその機能が使えなくなると日常生活に支障をきたしてしまう。

次ページ パケ止まりがなぜ起きるのか