AmazonやZOZOTOWN、楽天市場、Apple Storeなど多くのオンラインショップの決済手段の1つとして使われているBNPL(後払い決済、Buy Now Pay Later)サービス。利用ニーズが高く、新たな決済方法として急速に普及が進んでいる。だが、クレジットカードなど従来の後払い決済サービスと何が異なるのだろうか。そして、BNPLが抱えるリスクとは?

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 2021年9月7日、決済サービス大手の米ペイパル・ホールディングスが、3000億円で日本のユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)Paidy(ペイディ、東京・港)を買収すると発表した。(参照:ペイパルが3000億円でペイディを買収 日本を素通りした「出口戦略」

 ペイディが提供するのは商品の購入代金を後払いできる「BNPL(後払い決済、Buy Now Pay Later)」サービス。「今買って後で払う」という意味だ。商品代金を後で支払う決済方法としてはクレジットカードがあるが、クレジットカードを持てない層や持ちたくない人には便利だ。

BNPLには与信審査がほとんどない

 最大の特徴は、クレジットカードと異なり事前の与信審査が存在しない、または非常に簡素なことだ。クレジットカードであれば、住所や名前だけではなく、勤務先や年収などの個人情報の提供が必要になる。申請情報が正しいことを確認するために、勤務先に在籍確認などをすることさえある。その後、与信枠が決定され、カードが手元に届く。クレジットカードでは申し込みからカードが届くまで2~4週間を要することが多く、海外旅行や出張など何らかの理由で早くカードを入手したい人には不便だ。

 一方、BNPLではメールアドレスや電話番号などを記入するだけで、登録でき、中には数分で審査が終了するものもある。商品の購入やサービスを利用したいタイミングで、すぐに使えるので利便性は高い。ただし、付与される与信枠は数万円程度と小さい。利用状況(返済履歴)に応じて少しずつ与信枠を増やすことになる。このため、いきなり高額商品を買うのには適していない。

 また、付帯サービスやポイントプログラムもない。年会費がかかるクレジットカードでは、旅行保険やショッピングセイバー(購入商品が破損、盗難にあった場合の保険)、コンシェルジュサービスなどを利用できたりする。ランクの高いカードでは、航空会社やホテルから高レベルのサービスを受けられるものもあり、付帯サービスをカード選びの判断材料にする消費者は少なくない。また、ほぼ全てのクレジットカードには、一定の条件のもと利用額の数%をポイントで還元するプログラムが用意されている。

 だがBNPLはほとんどの場合、こうしたサービスやプログラムは存在しない。その代わり、年会費は不要だ。クレジットカードの付帯サービスやポイントプログラムに魅力を感じなければ、BNPLは良い選択肢となる。そして、最大のポイントは、一部のサービスを除き、分割払いをしても利用者が分割手数料を払わずに済むことだ。海外でBNPLが急速に普及しているのは、クレジットカードでの支払いが原則分割払いのため、分割手数料負担を重く感じている人が多いこともある。

続きを読む 2/3 急速に拡大する市場に合わせて変化する金融業界

この記事はシリーズ「仕事をアップデートするビジネスキーワード・トレンドワード」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。