株価が10倍以上に膨れ上がる可能性のある銘柄を指す「テンバガー」。個人投資家を中心に広く親しまれている用語ではあるが、株価が100倍以上に急騰する可能性を持つ銘柄があると言われたらどうだろうか。それが「ミーム株」だ。実際には、100倍になる株を指す用語ではないものの、複数のミーム株で短期間のうちに数十から100倍近くにまで株価が急騰した事例が存在する。今やウォール街の住人も注目する用語となったミーム株について、前編「コロナ禍が生んだ異端児『ミーム株』が狂乱相場を呼び込む」に続いてお届けする。

(写真:PIXTA)

ミーム株の特徴

 ミーム株と呼ばれる銘柄はそれほど多くはない。代表的なものは、前編で挙げた米ゲームストップ株の他に、米テスラ株、米AMCエンターテインメント・ホールディングス株、カナダのブラックベリー株などだ。一見すると、脈絡のない顔ぶれのように思われるが、これらの銘柄には共通の特徴がある。それは、ヘッジファンドによって、「空売り」のターゲットにされていることだ。株価の下落によって利益を得る「空売り」の対象となる理由は、業績低迷や株価の割高感など様々だ。大幅な株価下落を予想するヘッジファンドが特定企業に空売りを仕掛けるのは主要な投資戦略の一つとなっている。

 米国株式市場の上場株であれば、銘柄ごとの空売り金額は把握することが可能なため、米国のBBS(インターネット上の掲示板)である「レディット(Reddit)」の人気サブレディット「r/wallstreetbets」参加者は、空売り金額が大きい銘柄をピックアップしてミーム株の候補となり得る投資対象を選定している。選定といっても、特定のユーザーが権限を持ってミーム株を決定するわけではない。とある投資戦略への支持が集まると、同戦略に言及する投稿が目立つようになる。ここで、レディットの機能性について言及したい。レディットには、投票機能とアワード機能が存在する。ユーザーは、投稿への支持を表明する手段として、upvote(支持)とアワード(支持を強調する有料アイコン)を付与することができる。多くの支持とアワードを獲得した投稿はレディットの中でも優先的に表示されるようになる。

 ミーム株として認識される銘柄への投資戦略は、コミュニティー参加者から数万もの支持と数百ものアワードが与えられ、r/wallstreetbets以外のユーザーもその投稿を目にすることになる。そうした投稿を見たユーザーが同コミュニティーに集い、そして人気投稿を模倣するかの如く、同じ投資戦略への賛同者からの投稿が急増。こうした支持の獲得と模倣のサイクルが進むにつれて、参加者はその投資銘柄をいつしか「ミーム株」と呼ぶようになるのだ。

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