週休2日が一般的だった企業の勤務体系は、フリーランス活動や時短勤務などが普及するのに伴い柔軟性をもちつつある。令和に入り、働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染症が猛威を振るったことによる影響はいうまでもない。そうした中、注目を集めるのが週休3日制の導入可否だ。上場企業でも導入が進む本制度について、近年の動向を解説する。

週休3日制が業務効率改善に寄与したベンチャー企業

 日本企業の多くが現在導入している週休2日制度。5日働き2日休むという勤務スタイルの始まりは、オイルショックまでさかのぼる。第2次世界大戦直後から高度経済成長期までは1週間のうち1日休む、週6日勤務を基本とする企業が多かったが、オイルショックなどを経て労働人口確保や過労死などへの懸念から、週休2日の導入と定着が進んでいった。

 ここ数年は、フリーランスの増加やIT事業者が増加したことを受けて、より柔軟な働き方を求める声が強さを増している。育児のための時短勤務の励行やフレックス制の導入など、「週5日8時間勤務」にとどまらない多様な働き方が広がりつつある。

 そうした中、より業務の効率を高めるために週休3日制を導入する企業が現れた。中でも話題となったのは、2019年に無人ストア「Store600」の展開を開始した600(ろっぴゃく、東京・千代田)だ。同社では土日休みとは別に水曜日の休みを新設し、週休3日制を導入した。同社代業取締役の久保渓氏によると「週休3日制に注目されることで採用応募数が増加。各社員の優先順位に対する意識が高まることで、会社方針(OKR)や部署方針の徹底が図れるようになった。また、社員相互で優先順位や業務削減に対する議論がしやすくなり、互いに効率的な働き方を達成するための協力が促進された」という。

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