「修理する権利」の制度化でスマホの修理代が安くなる?

 スマートフォンを落としてしまい液晶ディスプレーが割れてしまった。メーカーへ修理に出すと、非常に高い金額が請求される。支払うしかないが、それがいやでディスプレーが割れたままスマホを使っている人も少なくないはずだ。メーカーから請求される修理代金には、部品代金だけでなく、破損箇所の診断、修理工賃、動作確認にかかる費用(さらに、修理に伴う利益)が含まれており、どうしても高くなってしまう。

 一方、部品さえ入手できれば自分で直せるというユーザーもいる。液晶ディスプレーの交換は難易度が高いが、バッテリーやボタンの交換ぐらいなら、自分でやって安価に済ませたいという人はそれなりにいる。そうした人向けに、ネットショップや部品店ではサードパーティ(外部事業者)製の部品やツールが販売されている。

iPhone のディスプレー交換修理料金は2万〜3万円ほどかかる。ユーザーが自ら修理すれば、メーカー修理に出した場合に比べ、半分程度の費用で修理できることも
iPhone のディスプレー交換修理料金は2万〜3万円ほどかかる。ユーザーが自ら修理すれば、メーカー修理に出した場合に比べ、半分程度の費用で修理できることも
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 ただし、ユーザー修理によって起きた不具合は補償の対象外となる。そうしたリスクをおかしても自分で修理し、費用の節約を狙うのかは悩ましい。

 自分で修理できる人からすれば、メーカーにもっと純正部品を販売してほしいところだろう。そうした要求をメーカーは無視してきたわけではないが、ユーザーが液晶ディスプレーを交換すると、タッチパネル機能に誤作動が起きたり、防水機能が失われたりすることもある。最悪の場合、バッテリーが破裂する可能性すらある。

 それだけにメーカーとしては安易にユーザー修理を勧めにくい。また、修理が簡単にできるようになれば、新機種を発売しても乗り換え需要が高まらないという思いもあるだろう。

 ただ、一部のメーカーはSDGs(持続可能な開発目標)の観点からユーザーの意向に沿って純正部品の販売をしてきた。その動きが2020年以降、加速し始めている。20年に欧州連合(EU)が「修理する権利」の規則を採択し、21年には米連邦取引委員会(FTC)が「修理する権利」に関する法律の施行を決めたのだ。ユーザーが修理したいと望んだとき、メーカーや販売者はその権利を認め、阻害してはいけないという内容だ。

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