ザックリ分かるNFT

 現在、バブルの様相を呈しているNFT。世界各国がビジネスチャンスとばかりに、NFTに飛びついている。ただ、盛り上がりを見せる一方で、蚊帳の外に置かれている人も多い。第1回では、NFTで何ができるのか、どういった技術なのかを初心者向けに解説する。

 そもそもNFTとは何か。正式名称は「Non-Fungible Token」(非代替性トークン)。絵や写真、動画や音楽、ゲームデータなどのデジタルデータの所有権や価値、取引状況などを明らかにする「ラベル」のことで、それを使用したビジネスやシステムを含めてNFTと呼ぶ。

(イラスト:PIXTA)
(イラスト:PIXTA)

 まずは、NFTが生まれた背景から説明しよう。

デジタルデータの取り扱いの課題

 デジタルデータを取り扱うとき、3つの問題が生じる。

 1つ目は、「誰が作ったかが分からない問題」だ。例えば、あなたがスマートフォンで奇跡的に素晴らしい写真を撮影したとしよう。著作権は自身にあるものの、データをコピーされてしまったら、権利を主張するのは難しい。そもそも誰がその写真を撮ったかが分からなくなってしまうからだ。

 2つ目に、「誰に所有権があるか問題」がある。奇跡の1枚の写真データが売買されたとする。双方合意の上、所有権が購入者に移ったが、購入者のあずかり知らぬところでデータが拡散。複数回にわたり売買が繰り返された結果、誰が本当の所有権を持つかが分からなくなる可能性がある。

 3つ目が、「所有権の売買に伴うマスターデータの不在」。デジタルデータであるがゆえに、マスターデータとコピーデータがどちらも本物となってしまうのだ。

 これら3つの問題は、デジタル時代ならではのもの。データをやりとりする上で、誰がそのデータを作り、どのような経路で流通しているかを追える方法が必要となったため、NFTが一般化した。

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