「ガンプラをスキャンしてバトル」が現実に

 実は、ガンダムメタバースにつながりそうな事業展開は、すでにいくつか始まっている。例えば、22年2月に始まった「機動戦士ガンダム アーセナルベース」と呼ばれるゲームは、トレーディングカードのコレクション性とゲームをマッチさせたもの。バンダイが展開してきた「機動戦士ガンダム0079カードビルダー」「ガンダムトライエイジ」といったアーケードゲームシリーズの最新作だ。

(出典:株式会社バンダイ)
(出典:株式会社バンダイ)

 本ゲームを早速導入した秋葉原のゲームセンター店主に話を聞いたところ「1回のゲームプレイは客単価が通常100円から200円のところ、本作は最大600円と非常に高い。前作は大不評で大赤字となってしまったが、不満点を大きく改善し満を持して新作を打ち出してきた」と評価は高い。「カード自体の質が高くてコレクション性もあり、人気も高い。近隣店舗ではカード在庫が無くなりゲーム機の稼働を止めざるをえない状況になっており、うちも時間の問題だ」とうれしい悲鳴を上げる。

 リアルでのカードのコレクション性とゲームの組み合わせは、単に仮想現実世界だけで価値をつくるよりもビジネスとしての収益性を期待できる。こうした取り組みは、仮想空間とガンプラなどリアルの商品を組み合わせるガンダムメタバースにもつながる発想だ。

 さらにBANDAI SPIRITSとBNEは共同で「ROAD TO GUNPLA BATTLE ガンプラバトルへの挑戦」という、自作のガンプラをスキャンしてデータ化し、ゲームバトルに参加するイベントも始めている。自分がつくったガンプラを操って仮想空間で戦うというガンダムビルドシリーズの世界がすでに現実に近づきつつあるわけだ。

 メタバースの最終的な形態はどのようになるのか。先行する米企業でさえも確固たる収益モデルを確立できてはいない。だが、バンダイナムコHDが「俺はガンダムで行く」と宣言するのであれば、喜んで追いかけるファンも多いことだろう。

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