ミノフスキー粒子ならぬプラフスキー粒子とは

 ガンダムシリーズでは、電子機器などの通信障害を引き起こしたり、レーダーを機能しなくさせたりする「ミノフスキー粒子」が有名だ。だが、ガンダムビルドシリーズでは、プラスチックに反応して外部から動かせる特質を有した「プラフスキー粒子」が登場。主人公とその仲間やライバルたちはこのプラフスキー粒子により、ガンプラを仮想空間で操り、バトルを繰り広げるというストーリーだ。

 つまりバンダイは「ガンプラバトル」をガンダムメタバースの仮想空間で実現できる世界を目指していると言えるだろう。ガンダムビルドシリーズに関心を持つファンには、アニメの世界だったガンプラバトルが具現化されるという期待が高まっている。

 さらに中期経営計画の発表と合わせて公開されたガンダムメタバースのコンセプト動画には、ガンプラファンにうれしいニュースがあった。ガンダムメタバースで、ガンプラを買えば、自宅に届けてもらえるサービスだ。さらに同動画には、世界中のガンプラのファンが自動翻訳の技術を使ってコミュニケーションする場面も登場した。

 ガンダムメタバースを推進するのは、バンダイナムコ エンターテインメント(BNE)。同社はゲームソフトを手掛けていた旧ナムコの流れをくむものの、現社長の宮河恭夫氏はバンダイ出身だ。1981年の入社当時はガンプラがブレイクした頃で、宮河氏自身もガンプラの営業をしていたという。その後、バンダイ傘下のサンライズで、企画プロデューサーとして「機動戦士ガンダムSEED」などに携わった。さらにガンダム30周年では、お台場に18mのガンダムを立てる企画を立案し、反対を押し切って実現させた。2014年からは実物大ガンダムを動かすことに挑戦する一般社団法人ガンダム GLOBAL CHALLENGE代表理事も務めてきた。

 宮河氏は、バンダイナムコグループの融合を象徴する人物だ。バンダイ出身でサンライズ社長を務めた経験を持ち、旧ナムコ出身者が多いBNEの社長と、バンダイナムコHDのエンターテインメントユニット デジタル事業担当を兼務する。そんな宮河氏が率いるBNE肝いりのガンダムメタバースであるため、ガンダムファンが期待に胸を膨らませるのも当然だろう。

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