ロボアドバイザーのメリットはデメリットに通じる

 自動運用型のロボアドバイザーはその手軽さからこれまで資産運用に及び腰だった人や、関心が低かった人に、投資を始めるきっかけをつくったといえるだろう。個別に金融商品を選び、判断し購入するにはかなりの手間や知識が必要だ。これに対し、自動運用型ロボアドバイザーでは、面倒なプロセスを減らし、スマートフォンを使ってワンストップで入金から運用開始まででき、非常に手軽だ。既存の金融機関がつくり出せなかった、若年層向け資産運用市場を生んだ側面もある。

 ロボアドバイザー事業者の代表格であるウェルスナビは、2020年、東証マザーズ市場に上場。21年9月末時点で30万3000人の利用者を獲得している。預かり資産は21年11月時点で6000億円を突破した。金融機関との提携も進め、高い成長率を見せている。

 ウェルスナビの運用手数料は預かり資産(現金部分を除く)の1.1%(年率、税込み)となっている。これを高いとする見方もある。投資リターンが大きければこの手数料は相対的に低くみえるが、逆にリターンが期待値を下回れば手数料の負担感は高まってくる。

 また、10年や20年単位でのロングスパンで資産運用すると、その分だけ手数料が積み増されていく。同一のポートフォリオを個人で組んだ場合に比べ、手取りは少なくなる可能性がある。通常の投資信託などでも手数料がかかるとはいえ、手軽に資産運用を始められることの対価として、この手数料を受け入れられるかどうかを考える必要はある。

 また、各事業者のロボアドバイザーの運用成績は似たパフォーマンスとなる可能性もある。そのため、運用業者の選定はブランドとマーケティングに依存しがちとなる。その原資となるのが運用手数料だ。競合同士で切磋琢磨(せっさたくま)することで手数料が今後下がる可能性はあるが、現状は大きく変わる状況にはない。

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