ムーンショットは、野心的研究をどこまで後押しするか

 紹介した2つの研究をはじめ、現在進んでいるムーンショットプロジェクトは奇想天外にも見えるものもあるが、これを推し進めることこそが、アポロ計画で月を目指したメンタリティーにつながるのではないだろうか。「あり得ない」という先入観で可能性をつぶしてはいけないだろう。

 地球温暖化の研究で21年にノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎博士は、好きな研究ができない日本を離れて米国に渡り、後に米国市民権も得ている。米国では、自由な研究を続けることができ、前人未踏の成果を生み出せたと評されている。

 いろいろなしがらみの中にある日本の研究では実現できなかったのだろうか。好奇心に駆られるままに「あり得ない」ことを「やってみる」というのがムーンショット型研究の志だ。真鍋博士に愛想を尽かされた日本の閉鎖的な研究環境が、ムーンショット型研究を契機に少しでも変化すれば価値あるプロジェクトと言えるのではないだろうか。奇想天外ともいわれる研究を立ち上げやすい風土をつくり、継続的に支援し続けることが求められているのだ。

 今後、40年までに、少しでも「月(ムーン)」に近づくことができるのか、はたまたネーミングだけが残るのか、今後が注目される。

(文=萬代悦子)

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