寝不足や質の悪い睡眠が雪だるま式にたまることで起きる「睡眠負債」。最近では、コロナ禍による生活環境の変化が新たな原因にもなっている。そんな中、睡眠の質向上に貢献するスリープテックが普及し始めている。

(写真:PIXTA)
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 仕事や将来への不安が高まる中、その思いが止まらなくなり、脳が興奮状態になることはないだろうか。その結果、不眠に陥ったり、寝つきが悪くなったりして、慢性的な睡眠不足となることがある。このような睡眠不足が借金のように蓄積され、心身に支障をきたすのが「睡眠負債」だ。

 睡眠負債は精神的な要因や、働き過ぎ、乱れた生活習慣が主な原因だ。さらに最近では、在宅勤務と出勤の日が混在することで生活のリズムが崩れた人や、新型コロナウイルスなどにより体調不良となった人の睡眠の質が低下することも分かってきている。

 スマートフォンのアプリケーションを通して常時仕事とつながるテレワークは在宅なのに気を抜く暇がなく、気分転換が期待されるワーケーションは誰もができるわけではない。不要不急の外出自粛要請で大手を振っての休日旅行もしにくかった。在宅勤務は自律神経が乱れやすいという研究もあり、ストレスが高まって睡眠の質が低下し、睡眠負債になってしまう。睡眠負債は寝だめをしても、解消できないだけに厄介だ。

問題があればビジネスが生まれる

 そもそも日本人は睡眠時間が短いとされ、それはデータでも裏打ちされている。OECD(経済協力開発機構)が2018年に調査し、21年に発表した調査では加盟国の平均睡眠時間は8時間24分。それに対し日本人の睡眠時間は7時間22分と1時間近く短い。量的にも少ない睡眠時間に、睡眠負債という質の悪化が重なればよいことはない。そんな睡眠の質の改善を望む人に、スマートフォンやスマートウオッチを使ったサービスが急速に広まっている。

 中でも、世界で2000万ダウンロードを超えたドイツ生まれの瞑想(めいそう)アプリ「Meditopia(メディトピア)」は成長株として注目されている。瞑想を通して睡眠の質を改善させる。こうしたアプリはこれまでもあったが、ここまで広く支持を得たものは少ない。

 水の音、たき火、風鈴の音などのBGMやヒーリングミュージックを聴きながら瞑想することでストレスを緩和させ、心の落ち着き得られるとしている。ストレスや感情をデータとして記録し残せるのも魅力だ。有料のサブスクリプション型(定額制)アプリだが、機能制限付きの無料利用や期間限定のお試し利用(期限を越えると自動的に課金される)もできる。日本ではまだ一般に広く知られていないが、海外ではファンを着実に増やしている。

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