最大発行量に達した場合、どうなるのか?

 経済学の観点では、財の価値は需要と供給によって決まるため、ビットコインの供給が止まった時点で需要の強さによって価値が大きく左右されることになる。需要の強弱によって供給が上下しないことから、需要が強まれば強まるほどビットコインの価値は高まっていくと考えられる。しかし、イーサやドージコイン等の他の暗号通貨(オルトコイン)がビットコインの代替とみなされた場合、需要が分散してしまうことから、価値としては高まらない可能性もあり得る。

 もう一つ大きな問題となるのが「発掘」への報酬である。ビットコインの取引承認を第三者が行う報酬として新しいビットコインが新規発行されている。ビットコインが最大発行量に到達した場合、発掘の報酬はどうなるのだろうか?現在でも、ビットコインの取引において当事者が少額ではあるが取引手数料を支払っている。この取引手数料が、将来の発掘の原資となるという見方もある。ただ、最大発行量を迎えるのは100年以上も先の話なので、我々には関係のない話なのかもしれない。

暗号通貨に対する発言が注目されるイーロン・マスク氏(テスラ社CEO)(写真:Shutterstock)
暗号通貨に対する発言が注目されるイーロン・マスク氏(テスラ社CEO)(写真:Shutterstock)

ビットコインの今後

 ビットコインの今後を占う上で最も重要となるのが、規制動向である。ビットコインをはじめとする暗号通貨はマネーロンダリング(資金洗浄)に利用される懸念が強く、犯罪組織やテロリスト団体の資金源になる可能性がある。また、詐欺や市場操縦のリスクに対する投資家保護の仕組みが欠如している。そのため、各国金融規制当局は、暗号通貨に対する規制を検討している。

 米証券取引委員会(SEC)の委員長であるゲーリー・ゲンスラー氏は、5月6日に行われた米国議会公聴会にて「2兆ドルにものぼる暗号資産市場は、より優れた投資家保護の仕組みが必要だ」と発言し、暗号資産に対する規制の必要性を訴えた。また、独連邦金融監督庁(BaFin)は、世界最大の暗号通貨取引所であるBinance社で行われた取引の一部が同国の証券法に違反した可能性があるとして、捜査を開始した。トルコでは、暗号通貨による商品やサービスを購入することを禁止しており、また同国内の取引所に対して、暗号通貨の取引を当局に報告する義務を課すことを検討しているという 。中国では、5月21日、同国の金融規制をつかさどる金融安定発展委員会がビットコインに対する規制強化に乗り出すことを表明した。中国では既に暗号通貨を介した商取引の禁止などの規制導入に乗り出しているが、今回の規制強化によって中国国内でのマイニング活動とトレーディング活動の禁止によって、暗号通貨を巡る取り締まりが一層厳しくなると予想される。2020年に熱を帯びた中国でのビットコインブームにも陰りが出るのではとも言われている。

 こうした規制動向は投資家も注視しており、ニュースによってビットコインの価格が大きく変動するケースも多くみられる。規制強化の潮流が確実に強まっていることから、報道や実際の規制実施を受けた価値の急変には注意する必要があるだろう。