よくバラエティー番組でステーキやハンバーグをナイフで切ると、断面から肉汁がブシャーと流れる映像をみかけるが、あれはほとんどが脂である。「肉汁」の定義は曖昧ではあるが、もし肉汁を凝固していない肉のうま味成分と解釈するなら、あんなに流れ出たら、その分うま味を失うことになってしまう。TV的なシズル感が増えても、おいしさが減っては元も子もない。
今晩の自分へのご褒美をステーキにしたい人へ
さて、知識を自分のものにするためには何より実践である。理屈に体験・経験が備われば、怖いものなし。さあ、焼こうではないか、ステーキを。喰らおうではないか、うまい肉を!
【作り方】
牛ステーキ肉 厚さ2~3cmのもの(重量は食べる量に合わせる)
太白ごま油 大さじ1
塩 重量の1%分
胡椒・ホースラディッシュ(山わさび) 適宜
※その他用意するもの、フライパン、トング、キッチンペーパー、揚げ網(魚焼きグリルの網でもOK)、アルミホイル
1. 牛肉は表面がぬれていないものを選ぶ。水分が多い肉はパックから出し、ラップをせずにバットや皿で数時間冷蔵庫で休ませて表面の水分を飛ばす(時間がなければ、冷蔵庫から出して表面の水分をペーパーで拭き取る)
【ポイント】
肉は重量ではなく厚さで選ぶ。最低2cm、できれば3cm程度あるとより焼きやすい(その場合は工程4の回数を増やす)。

2. 太白胡麻油をフライパンに入れ、強火にかける。フライパンから薄く煙が立ち始めたら牛ステーキ肉を入れる。
【ポイント】
油は熱を加えても酸化しにくく、味の邪魔にならない太白ごま油がおすすめ。オリーブオイルでもいいが、香りが飛ぶ。サラダ油は避けたい。

3. 牛肉の両面を30秒ずつ焼き、網にとってアルミホイルをふんわりかけて3分休ませる。
【ポイント】
初回は肉が冷たく、火が入りにくい。冷たい肉を常温に戻す過程も兼ねているので、次の工程よりも少し長めに焼き、焼いたあともホイルをかけて熱を全体に回していくイメージ。

4. 牛肉の両面を15秒ずつ焼き、網にとってホイルをふんわりかけて2~4分休ませる。表面が「ぬるい」と感じる程度まで冷めたら、再度両面を15秒ずつ加熱した後、火を止め、休ませる。休ませた後、表面に人肌以上のあたたかさが残り、肉の内部から跳ね返すような弾力が出てきたらレアの目安。そこから先は加熱と休ませを繰り返すごとに内部に火が入っていく。最後の焼きは肉を転がすように立てながら、両サイドも焼く。好みの加減で引き上げる。

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