和菓子の伝統に縛られない自由な発想

 井村屋の商品は和菓子をベースにしながらユニークなものが多い。定番商品もさることながら電子レンジで解凍できる「冷凍和菓子」やアイスなのにやわらかくもち感がある「やわもちアイス」など、和菓子カテゴリーの裾野を広げる商品を展開している。

 創業時、和蔵が和菓子の世界とは無縁なところから飛び込んだことがその背景にあるように思える。アンナミラーズとの提携も、和菓子の伝統に縛られない自由な判断があったからこそ実現したのではないだろうか。

 和蔵の大失敗をきっかけに、思いつきにも見える形でスタートした井村屋だが、アイデアにあふれたユニークな商品展開によって、業界に独自の立ち位置を確立していった。東京証券取引所では第2部を出発点に、今はプライム市場に籍を置いている。21年(令和3年)には日本酒醸造にも進出し、日本酒の販売を始めている。

 和菓子というと茶の湯文化に沿った物が重宝されてきた。だが、お稽古文化の衰退や生活スタイルの変化によって従来型の和菓子の需要は減りつつある。そうした逆風の中、今後も井村屋がしがらみに縛られずに新たな和菓子文化をつくりながら、成長を続けられるのか、気になるところだ。

(文:宇佐美フィオナ)

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