次のアップルはどこへ

 アップルに返り咲いたジョブズは大規模なレイオフを敢行し、ライバルであったはずの米マイクロソフトとの業務提携や資金調達を成功させ、98年には新生アップルを象徴するiMacの発売にまでこぎ着ける。かつてのワクワクする製品を作るアップルが戻ってきたのだ。

 新たな音楽習慣をつくったiPodやスマートフォンとして一大ブランドとなったiPhoneの登場と躍進については、またの機会に触れることにして、最後は現在のアップルの状況について触れておきたい。

度々体調悪化について報じられたジョブズ。イベントなどに登壇する機会が減り、2011年6月の基調講演を最後に表舞台から退いた。11年10月5日、すい臓腫瘍の転移により死去した。56歳だった(写真:AP/アフロ)
度々体調悪化について報じられたジョブズ。イベントなどに登壇する機会が減り、2011年6月の基調講演を最後に表舞台から退いた。11年10月5日、すい臓腫瘍の転移により死去した。56歳だった(写真:AP/アフロ)

 2011年8月、体調を悪化させたジョブズは退任した。その後、10年以上アップルを率いているのはCEOのティム・クックだ。ジョブズがすい臓がん手術などで現場を離れた頃からジョブズの代理として手腕を奮い、その後、ジョブズ時代の製品を受け継ぎGAFAM (Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)と呼ばれる世界的に影響を持つIT企業にまで育て上げた。18年8月2日には、米企業として初めて時価総額1兆ドルを突破する。さらに、22年には3兆ドルを突破している。ここ数年のバブルのような米国での株高も影響したとはいえ、株価が10年でおよそ10倍にまで高まったのは彼の手腕によるところが大きいだろう。

 ジョブズ時代の遺産を引き継いだものの、新たな製品を作れなかったと批判されることもあるクックだが、競合スマートフォンブランドが立ち上がって消えていく中、iPhoneブランドを陳腐化させることなく維持した。また、15年に発売した「Apple Watch」といったスマートデバイスを生み出したことも評価に値するだろう。

 経営陣同士の激しいバトルや、その過程でCEOが度々変わるなど、転機を何度も経験したアップルだが、カリスマが世を去った後、成長を続ける企業として存続した。そんな、アップルをつくり上げたクックは22年8月にはCEOとして12年目を迎え、ジョブズに次ぐ長期政権となっている。22年11月にはクックは62歳となる。次のCEOへのバトンタッチも臆測される中、今後アップルがどのようなステージを歩むことになるのか、気になるところだ。

(文=宇佐美フィオナ)

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