前回は「我が社は、これで勝つ!」というコアコンピタンス(他社にない圧倒的な強み)を明確にすることの重要性をお話ししました。それを踏まえて、今回は「進出目的を常に意識しよう」というお話をします。
実際に海外進出をすると、日本で想像もしていなかった困難に遭遇する事が多々あります。こんなとき、進出当初に定めていた目的を簡単にあきらめたり、安易な方法にすぐ転換をしたりする会社が多いのです。臨機応変に戦術を見直して変化に対応することと、難しい課題が生じたことを言い訳にして目的達成から逃げることは似て非なる行動です。
惰性に流された海外進出にしないためには、海外進出した当初に定めた「進出目的」を常に頭の隅に置いて、今の行動は進出目的の達成につながっているのかを確認する事が大事です。

前回取り上げたコアコンピタンスとは、あなたの会社の「圧倒的な強み」のこと。あなたの会社は「なぜ事業をするのか」という全社のビジョンに直結するものです。ですから、コアコンピタンスは本社の経営トップが決めるべきものです。
一方、進出目的は、海外現地法人がそれぞれの市場環境の中でどう戦ってコアコンピタンスの達成を目指すかを定めた戦略のことを言います。つまり、進出国の誰に、どんな商品やサービスを売るのか、何によって進出国の生活者に貢献するのか、という軸をはっきり定めることです。
大事なのは、コアコンピタンスから導き出した「誰に、何を売るか」という進出目的を、本社にいる経営トップ・海外進出責任者、現地法人に駐在する責任者、現地採用のスタッフに至るまで、全メンバーが共有しておくことです。
コアコンピタンス | 進出目的 | |
---|---|---|
定義 | 他社にない圧倒的な強み。 全社の共通ビジョンに直結する | コアコンピタンスを踏まえ、 現地で定める戦術 |
策定時に明確にするポイント | なぜ事業をするのか | 誰を狙い、何を売るのか |
策定の主体 | 本社、経営トップ | 海外現地法人 |
本社と現地法人は距離が離れているのでつい忘れがちですが、海外進出という大きな事業に携わるメンバーは1つのチームです。メンバーの役割はそれぞれ異なりますが、迷いが生じたり、壁にぶつかったりしたら、それぞれ自社のコアコンピタンス、そして進出目的という原点に戻ることができます。原点が明確ならば、何があってもぶれることなくビジネスを成功させることができます。
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