個人保証はきっぱり断る

星野:しかし、壮絶でしたね。よくぞやり切ったと思います。

 前回のお話では、銀行員として順調にキャリアを積んでいる最中にメインバンクの頼みで、お父様の会社の再建を引き受けたという。かなりリスクが高い決断ではないでしょうか。

福島:銀行は「あなたが『はい』と返事しないと、支援できない」と言う。それでは社員が路頭に迷ってしまうと思いまして。

星野:しかし、全く面識のない社員たちだったはずです。

福島:ええ、私は非嫡出子ですから。母に相談したら、「継がなくていいんじゃないかしら」とあっさりしたもので(笑)。

星野:私も同じ立場なら、そう言うかもしれません。

福島:決断を後押ししたのは、ある親友の言葉です。彼のお父さんは大きな事業をしていたものの、会社を倒産させてしまった。その彼がこう言う。「福ちゃんはいいじゃない。継げる会社があるだけ」と。昔は「お金持ちの子」として見ていた彼がしみじみ話すのを聞き、心が大きく動きました。

 幸いにも当時、婚約していた妻も賛成してくれ、まだ20代で体力もある。失うものはない。それなら一つ、やってみるかと。

星野:そう思えるのがすごい。福島さんは楽観的なのですね。後継者には大切な資質です。民事再生も、楽観性を貫けばこそ下せた決断だと思います。

 入社後のことを想像すると、モチベーションを維持するのも難しい状況ではなかったでしょうか。何しろ、福島さんにアンチの幹部もいれば、お父様が完全に味方になってくれるわけでもなかった。

福島:最初はやはりきつくて、休日に日経新聞の求人広告をよく眺めたものです。金融業界出身で20代だと、求人が結構あるんです。「これはいいかも。応募しようかな……」なんて思っては、「いや、やっぱりダメ!」と、慌てて新聞を閉じたり。けれど、妻には「もしものときには転職する」と話していました。

 それに、何だかんだ言っても「最後は父がいる」と思っていましたから。父は実際、法的整理に伴う責任を取ってくれました。会社のすべてを私一人で背負い切れたかというと、そこまではなかなか。

星野:会社債務の個人保証は?