最先端の経営学の世界では、ファミリービジネスの強さが評価されている――。早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄さんに前回、そんなお話を聞きました。

 うれしい事実ですが、私には「入山さんをはじめ経営学者の皆さんは、同族企業を買いかぶりすぎていないか」という、懐疑的な気持ちも湧きました。

 同族企業の創業家一族は、えてして勉強を怠りがちで、そのために会社の発展を阻害してはいないだろうか。今回は、そんな私の問題意識を率直にぶつけてみました。(星野佳路)

星野代表は持論を述べた書籍を引用しながら議論を進めた(写真:鈴木愛子、以下同)

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星野:日本のファミリービジネスの後継者は、経営学の本をもっと読むべきだと思うのです。

 なぜなら「答えはすべて長野の佐久の書店にある」。

 これは私の経営の持論です。

入山:どういうことでしょう。

星野:地方などの中小企業経営者は皆、似たような問題で何年もあれこれ悩んでいる割には、仲間内でぼやくばかりで、書物に答えを求める人はあまり見かけません。

 私自身は、経営課題に直面するといつも、地元の大型書店に足を運んで解決してきました。

 大学卒業後、実家の温泉旅館を継ぐ修業として、米コーネル大学のホテル経営大学院で学びました。そこでマイケル・ポーターの競争戦略論や、フィリップ・コトラーのマーケティングの著作を読み、大いに刺激を受けました。

 しかし、長野県軽井沢町の実家に戻った後、同じ長野で隣接する佐久市の大型書店に立ち寄って驚きました。ポーター、コトラーをはじめ、米国の大学院で読んだ経営の教科書がずらずらっと並んでいるのです。コーネル大学の図書館に引けを取らないラインナップです。

 こんなことなら米国まで勉強に行く必要はなかった。この書店に来て、ここにある本を読めばよかったじゃないか。そう思いました。