プロセスを知る

 それでは、どのように営業先の課に対して製品やサービスを採用してもらうのか。

 地方自治体は4月1日から翌年の3月31日までの1年度で組織を運営しており、いつ、何をするのかという時期は概ね決まっている。

 実は民間企業が受託する仕事が創られるプロセスは、まさにこの1年間の組織運営の流れに沿っているのだ。

 このプロセスは、実施事項ごとに7段階に分けられる。筆者はこれを「自治体営業7つのフェーズ」と呼んでいる。それぞれのフェーズにおける企業の具体的な活動内容は、下の表を参照されたい。

「入札・プロポーザル」からの参加もできる
自治体営業7つのフェーズにおける活動内容
アプローチ時期
フェーズ1自治体ニーズの把握課題・ニーズを把握するためのヒアリングと資料からの情報収集4月~6月
フェーズ2事業の提案課題を解決し、ニーズを満たすための事業や製品、サービスを提案7月~9月
フェーズ3予算書づくり財政課に事業の必要性を納得させるような予算づくりに関与する9月~10月
フェーズ4予算化支援財政課ヒアリングの想定問答集を作成する。事業の妥当性を示す資料を提示する10月~11月
フェーズ5議会および引き継ぎへの対応議員からの質問対応に必要な情報提供。人事異動対応3月議会
フェーズ6入札・プロポーザル参加入札、プロポーザル(企画提案競争)に参加する1月~次年度4月~
フェーズ7受注後のプロジェクトマネジメント受注後の案件の進行管理を確実に行う受注後の工期

 察しの良い皆さんはそろそろお気付きだろう。自治体ビジネス常連企業は、このフェーズに沿った案件獲得活動の進め方を「知っている」のだ。これが、結果として「大手企業が裏で……」と見えてしまう背景事情というわけである。

フェーズ6からの挑戦も

 ここで筆者は、皆さんの心の声に耳を傾けねばなるまい。「これじゃあ、前年度から関わっていないと自治体の仕事は取れないじゃないか」。

 ご安心いただきたい。フェーズ6の「入札・プロポーザル(企画提案競争)参加」から挑戦してみよう。実はここも決まりごとの世界。入札には、価格帯の見極め方のセオリーがある。

 そして近年増加傾向にある公募型企画提案競争には、公募が出てから発注先企業を決めるまでの全体プロセスに10のステップがあり、各ステップに勝率を高めるポイントがあるのだ。これもすべて「知っている」かどうかが勝敗を分ける。

 「組織目的」「キーマン」「仕事を創るプロセス」の3つを知り、「7つのフェーズ」「入札価格の見極め方」「企画提案競争10のステップ」を押さえる。

 自治体ビジネス未経験企業も、常連企業も関係ない。「知る」だけでビジネスとしての成果が期待できるこれらの決まりごとこそ、自治体ビジネスのいわばトリセツといえよう。

(この記事は「日経トップリーダー」9月号と10月号の記事を再編集したものです)

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