「知っているかどうかが鍵なのは分かった。じゃあ、どうやって知ればいいんだ?」という読者諸氏の声が聞こえそうだ。

 ここからは、中小企業が大手企業と肩を並べて自治体ビジネスに参入する上で「知っている」べきルールや仕組み、進め方の全体像について解説しよう。

組織目的を知る

 まず押さえておきたいのは、地方自治体の組織目的。民間企業の組織目的は「利潤の追求」、すなわち「自社のためにお金を儲ける」ことだ。

 それに対して、地方自治体の組織目的は「税として預かったお金の使い道の効果を最大化すること」。限られた財源の中で、地域課題の対応のためにどの分野にどれだけお金を使えば、地域住民の満足度が最大化するのかを考え、企画し、実行する。

 つまり、地方自治体は「地域住民のためにお金を使う」ことを目的とする組織なのだ。

 ここを押さえておくか否かで、自治体に対する自社の製品やサービスの営業アプローチが全く違ってくる。

 「弊社の製品を買ってください」「弊社のサービスはすごい実績があります」──。こんなアピールをする以前に、その製品やサービスの価値が、どのように地域課題の解決に役立つのか、説得力のあるロジックを組み立てよう。地域のための組織である地方自治体の心をつかむには、まずここからだ。

キーマンを知る

 次に、地方自治体において、ビジネス上のキーマンは誰だろうか。それは首長、すなわち知事や市長ではない。多くの企業が思い違いをしているのが、この点である。

 首長とは、政策を公約として掲げ、投票で選ばれる地域のリーダーだ。当選した首長は政策の実現について采配を振るう存在で、そもそも仕事のプロセスには関与できない仕組みとなっている。これが、社長の鶴の一声で決まることの多い民間企業との大きな違いだ。

 では、真の営業先はどこか。地方自治体の組織体制は、原則としてさまざまな住民サービスや地域課題の領域ごとに権限や予算を持つ、独立した部署の集合体である。

 ということは、企業の製品やサービスを採用する部署(多くの自治体の場合は課単位)が営業先であり、キーマンはその課の課長なのである。

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