具体的な事例を紹介する前に、どんな仕事が民間企業に発注されているかを見てみよう。おおまかに3つの分野がある。

 1つ目は「工事」。皆さんもよく見かける、道路工事や公共施設の建設などの工事を、建設・土木工事会社に頼んでやってもらう仕事だ。

 2つ目は、いわゆる「お買い物」。ボールペン、プロジェクターなどの事務用品・機器から自治体ならではの災害備蓄品まで。皆さんが自社のオフィスで目にするものは大概、自治体のお買い上げの対象となる。

 3つ目、これが近年爆発的に領域が広がっている「ソフト事業」。清掃、警備のような以前より民間に発注していた領域から、ウェブ関連、ICT関連ソリューション、イベント・セミナー企画、人材育成、そしてこれらが複合的に組み合わされた社会課題解決のための事業まで枚挙に暇がない。

平成28年度4月1日以降に全国の地方自治体から発注された仕事の例
平成28年度4月1日以降に全国の地方自治体から発注された仕事の例

 代表的な仕事は上表の通り。案件の多様さは、10年前までは筆者も想像だにしなかった。これらの仕事を受注したのは、いずれも中堅・中小企業なのだ。

「江戸時代の庶民脳」

 ここまで客観的なエビデンスを示しても、「どうせ大手と裏で……」という漠然とした不信感を払拭(ふっしょく)できない人が多い。

 試しに知人に、「どうして役所は大手とデキているって思うの? 理由を具体的に教えて」と尋ねてみた。返ってきた答えは「何となくそう感じる」「役所はいつも裏で何かしているイメージがある」。その目で現場を押さえたわけでもなく、証拠があるわけでもないのに、だ。

 「お上はいつも民を虐げ、裏で悪いことをしている」。この厄介な思い込みを、筆者は「江戸時代の庶民脳」と呼んでいる。

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