クラウドファンディングを利用する飲食店経営者は、資金が全くない場合もあれば、資金にある程度余裕はあるけれどPRやマーケティング効果を期待する場合もあると思います。私はいくつかの資金調達パターンを経験しましたので、それを基にこれから利用を考えている人たちにアドバイスできます。

 SABAR3店舗の開業資金を調達し、しかもそれぞれの店を繁盛させることができれば、飲食店におけるクラウドファンディング利用の第一人者として認められるという思いもありました。今でも、クラウドファンディングというテーマで取材を受ける機会が多いのは、開業当時、3店の資金を調達するという決断をしたからだと思います。1店だけで終わっていたらここまで注目されることもなかったでしょう。

 今回は、私が経験した3つの資金調達パターンのうち、全額を調達した1号店のケースをお話します。メニューを決め、改装に要するコストなどを計算して、1号店の開業に必要なコストは1788万円と見積もりました。

 この資金を1口3万円で募ることにしました。私が利用したクラウドファンディングサービスでは、店が軌道に乗り、利益が損益分岐点を越えたら、利益額に応じて、出資者の配当金を支払うルールになっていました。SABARでは配当金に加え、一口当たり3000円相当の鯖寿司を提供することにしました。

クラウドファンディングで1軒目の開業資金を調達

 募集開始は13年9月28日。クラウドファンディングサービスの専用サイトに、SABARのコンセプトやサバへの思いを詳しく掲載したものの、ただ待っていても資金が集まるとは思えません。

 とにかく1人でも多くの出資者から支援をもらいたいと考えて、クラウドファンディングサービス会社が主催する出資者向けのセミナーに何度か登壇したほか、ベンチャー企業を対象にしたピッチイベントにも参加して、できるだけ多くの人にサバへの思いを直接伝えようと努力しました。

 セミナーでは、プレゼンテーションを終えた直後に、参加者から「出資するから頑張ってよ」と声を掛けてもらえたこともあり、少しずつ手応えを感じ始めました。募集結果は予想以上でした。募集を始めてから約4カ月間で、420人の出資で目標額の1788万円を集めることができたのです。

「SABAR 東京恵比寿店」。開業資金の6割程度の約1200万円をクラウドファンディングで調達した

 鯖やを07年に立ち上げてしばらくは、思うように銀行から融資を受けられず、資金繰りに必死でした。それなのに、クラウドファンディングを使えば、顔も知らない人が私の思いに共感して投資してくれるのです。出資者のほとんどは、配当金で儲けたいというよりも、サバが好きで、SABARを応援したいという気持ちから出資してくれています。こんなことがあるのかとすぐには信じられませんでした。

 クラウドファンディングを通して、サバ料理専門店を応援してくれる人が全国に420人もいることが分かったことは大きな収穫でした。当初は確信を持てなかったSABARを繁盛させられる自信が湧いてきました。