また、同じくヒット商品の鉄鍋「和鉄ダッチオーブン」も、燕三条地域の鋳物成型技術を使った、熱伝導に優れ、薄くて丈夫な製品です。

 スノーピークが地元に根ざした高い加工技術を生かし、世界に通用する優れた製品を相応の価格で売る。これにより、スノーピークのブランド価値が高まり、地場産業の技術を海外に知ってもらうプラットフォームの役割も果たす。スノーピークは地元とともに発展していこうと常に意識しています。

 私が地元に戻った当初の燕三条地域は、海外との価格競争に巻き込まれ、利益が落ちる一方でした。今では、小さな規模の会社でも、高く売れる優れた商品を作るようになり、利益が伸びるとともに、海外でも評価されるようになっています。

後輩に隠しごとはしない

 青年会議所の理事長を務めたことで、私より10歳ほど若い後輩から10歳ほど上の先輩まで、地元経営者の多くと気心の知れた仲になりました。時には意見の相違もありましたが、正面からぶつかりあえた分、気持ちを通じ合うことができました。表面的に何もないよりずっとよかったと思っています。

 後輩たちは僕の弟分。日ごろからよく飲みに行き、質問をされたら隠しごとはせずに答えるのが先輩である私の信条です。

 スノーピークが2015年に東証一部に上場したことで、上場したいと考える地元の若者も増えました。若い頃から一切方針を変えずにやってきたことが評価されたことは、後進の励みにもなっています。

東証マザーズ上場から1年で東証一部上場を果たす
東証マザーズ上場から1年で東証一部上場を果たす

 私は、三条青年会議所の理事長、三条商工会議所の副理事長を務めた後、三条市、燕市、新潟市などの製造業の経営者500人以上からなる団体、協同組合三条工業会の理事長をつい先日まで務めていました。現在は、新潟経済同友会の副代表幹事を務めています。

 青年会議所の理事長を最初に「やらされた」と話しましたが、私自身、肩書きの大きさで引き受ける仕事を選ぶ人間ではありません。自分が日ごろから持つ問題意識の解決に携わることができる役割に、タイミングよく声がかかれば引き受けて尽力します。今後も社会に対する貢献を続けていきたいと思っています。

(構成:福島哉香、編集:日経トップリーダー)

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