青年会議所では会社とは違うメンバーをまとめなければなりません。しかも、メンバーは、ある意味、めちゃめちゃわがままで癖のある人たちばかりです(笑)。苦労しました。社員だったら人事考課が力を発揮しますが、青年会議所ではそうもいきません。

 では、こうした経営者たちを一つにまとめるための秘訣は何か。それは、自分が的を得た方針を掲げることです。もし翌年の方針を伝えたときに、それがピント外れだったら、誰も付いてきません。
 会社では経営計画が的外れだと、ものやサービスが売れず利益が出なくなります。青年会議所では、会社という縛りがない分、すぐに人が付いてこなくなるんです。

 青年会議所の目的は、地域にとって価値のある活動を行うことです。現状認識はこうで、その価値を高めるにはこうすべき。だから、この事業が地域にとって必要だと、物事の本質と真理を突いて青年会議所の社会的意義と方針を説明して、メンバーの意識を一つにするのです。

会社の公の価値を考える

 この経験を通して、会社の社会的な存在意義を深く考える機会が増えました。

 最近お会いした経営者の中で、地域と理想的な関わり方をしていると感じたのは眼鏡ブランド「JINS」をつくりあげたジェイアイエヌの田中仁社長です。

 彼は商売一徹で成功を収め、50代に入ってからは地元である群馬県の地域活性化に力を尽くしてきました。街づくりに貢献したり、起業家を応援したりしています。仕事を続けて来て、最終的に「地元が良くならないと意味がない」という思いに行き着いた。そしてその姿を見て、後輩たちも皆、田中さんを尊敬しています。若い頃からではなく、成功してからの付き合いかもしれませんが、地元に貢献したいという尊い気持ちは地域の若い後輩に伝わっています。

 私も、青年会議所などでの経験を通し、地域にとってのスノーピークの価値、さらに日本にとって、世界にとってのスノーピークの価値を考えるようになりました。つまり、公の中での会社の価値とは何かを意識するようになったのです。このことは、スノーピークという会社の発展に大きく寄与したと思います。

 スノーピークのヒット製品に、「ソリッドステーク」というテントを張る際にロープを地面に固定する杭(ペグ)があります。スノーピークでは、燕三条に伝わる日本刀の製造にも使う鍛造技術を用い、固い地面にも確実にテントやタープを固定できる丈夫なペグを作りました。従来のペグは消耗品とされてきましたが、日本刀の技術を使うことで長持ちする製品にもなりました。

テントを張るロープを地面に固定する人気の杭(ペグ)「ソリッドステーク」。地元の技術を使って製造している
テントを張るロープを地面に固定する人気の杭(ペグ)「ソリッドステーク」。地元の技術を使って製造している

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