3つ目のステップは、グループ会社の社長になることです。

 事業部の部長の仕事は、1つの商品のマーケティング活動だけですから、会社全体のことや、財務や経理のことまでタッチしません。

 一方、どんな小さな会社であっても、社長になれば、中長期的な経営企画、あるいは財務や経理などを全部見なければならなくなる。グループ会社の社長を務めることで、視野は一気に広がります。

 実は今、本社の専務をあるグループ会社に在籍させ、社長を兼務してもらっています。本社には彼とは別に財務担当のマネージャーがいる。そのため財務管理の知識が本社では身に付きません。

 しかし、グループ会社の社長を任せた瞬間、彼は営業面と管理面の両方を見なければならなくなりました。途端に財務の知識も増え、約2年半で、売上高を170億円から300億円まで伸ばしてくれました。これが1つの成功事例になっています。

 このステップで考えると、社長の後継者選びはとてもシンプルになります。グループ会社や子会社の業績を伸ばした人が、親会社の社長になる可能性が高いのです。

第4コーナーで粘れるか

 そもそも幹部候補として中途入社した社員たちとは、どんなコミュニケーションをとっているか。

 入社直後から、少なくとも2年先までのジョブローテーションの話を丁寧にさせてもらっています。

 例えば、2年後に「koe(コエ)」というファッションブランドのブランドマネージャーになってもらいたい人がいるとします。そのためには経営の知識も必要ですし、マーケティングやファイナンス、eコマースのことも分かっていなければなりません。

 それらを学ぶためのトレーニングを、どの部署で、どんなプラン、タイムスケジュールでやっていくかを伝える。

 また、途中でブランドマネージャーよりもファイナンスのほうが得意そうだと思えば、当初とは別の道のプランを立てていきます。このような細かい“目線合わせ”が非常に大切だと考えています。

 私がどのような人を幹部に引き上げているかは明確です。

 幹部に向いている人の考え方や気質には、共通点があります。まずは楽観的で、あまりくよくよしないこと。嫌なことや大変なことがたくさんあるので、この思考は非常に大切なんです。

 次に、よく言われていることですが、コミュニケーション能力が高い人。

 例えば、一番声が小さい人(発言が苦手な人)、一番緊張している人、一番立場が低い人にも声をかけ、配慮できるかどうかが大切です。

 いつも同じチームで話し、人間関係が固定化するのではなく、異なる立場の人と率先して会話し、意志疎通ができるかどうかです。